天使の訪問




朝、は浮竹の家を訪れていた


「お兄ちゃま〜・・・あれ?・・・お兄ちゃまいないのぉ〜?」


浮竹の自室にいないことを確認すると
可愛らしい足音をたてながら 屋敷中を探し回る

病弱な浮竹は自宅に帰るということをあまりしない
幼いもそこのとこは解かっている
解かってはいるのだが、大好きな兄に会いたい気持ちは抑えられない



「ん〜お仕事場かなぁ・・・行っちゃダメかなぁ お仕事の邪魔しなきゃいいかなぁ・・・」


唇を尖らせて腕を組みう〜んと考え込んでいる姿はこの上なく愛らしい
暫く考え込んだ後、ぱっと顔を上げ満面の笑みでこう言った


「お兄ちゃまのところに行っちゃお!
 お仕事場への道は覚えてるしきっと大丈夫!」


なにが大丈夫なのかはよく解からないが、の冒険?が始まった
行き先は護廷十三隊 十三番隊隊首室『雨乾堂』
お宝?は十三番隊隊長『浮竹 十四郎』
その道のりに何が待っているのか・・・




護廷へは迷うことなく辿り着いた
しかし、その中はにとって迷路のようで
似通った壁に扉そして窓ばかり
歩けば歩くほど自分がどこにいるのかが判らなくなってくる


「あぅ・・・お兄ちゃまのお部屋どこ・・・?」


すれ違う死神は朝だけあって仕事中なのかあまりいない
たとえすれ違ったとしても急ぎ足で通り過ぎていくだけ
はだんだん心細くなってきて、その大きな瞳に涙を溜めはじめた


「お?なんでこんなとこに子供がいんだ?おい、ここで何してる」

「はぅ・・・?」


が振り向くと目の前は黒、そのまま視線を上げていくと
今度は目の醒めるような赤 そして変な模様の描いてある顔
そう、六番隊副隊長 阿散井 恋次 だった
恋次の目つきが悪かったのかはたまた変な模様が描いてある顔が怖かったのか
は恋次を見上げるように見て、さらに涙を溜めはじめた


「お、おい・・・」


恋次は焦って屈みこみと目線をあわせた
『きっと、このお兄ちゃまは優しい人なんだ』そう思っても
その顔の模様が怖いものは怖い
溜めきれなくなった涙がぽろぽろと瞳から零れだす


「げっ・・・ど、どっか痛ぇのか?そ、そうだタイヤキ食うか?」

「恋次・・・このような所で何をしている」

「く朽木隊長・・・いや、あのですね・・・」

「・・・ふぇ・・・っく・・・うぅぅ〜〜〜」


白哉の登場にさらに焦る恋次
はついに泣き出してしまい、さらにさらに恋次は焦ってしまう


「・・・恋次」

「は、はいぃっ」

「この子供はどうしたのだ?何故ここにいる」

「それが解からないんスよ、俺もさっき気がついて・・・」

「娘・・・何故ここにいる?此処はお前のような子供が来る場所ではない」


白哉の問いに手と袖で涙を拭いながらおずおずと顔を上げる
泣きながらもその愛らしい顔は白哉の胸を貫いた


「・・・っく・・・お・・・兄ちゃ・・ま・・・に・・っ、会いに・・・ひぃ・・っく、来た・・・の・・・」

「お、お兄ちゃまぁっ?」

「ふむ・・・娘、名はなんと申す」

「うきたけ・・・・・・」

「はぁっ?!」


あまりにも歳の離れように驚きを隠せない恋次
は恋次のあげた大声にびくっと身体を震わせてさらに泣き出す


「・・・恋次、煩い」

「す、すいません・・・」


白哉は身を屈めるとの涙を自分の指で拭い、微かに微笑んだ


「そのように瞳を擦ってはならぬ・・・私がそなたの兄の元へ連れて行ってやろう・・・」


その言葉と、その微かな微笑を見てしまった恋次は
衝撃のあまり固まってしまっている


「ほんと・・・?」

「あぁ・・・」

「・・・お兄ちゃまの、お名前は・・・?」

「朽木 白哉だ」


以前、海燕に言われたことを覚えていたのか
シスコンである白哉にトドメの一発は微笑みながらぶちかました


「白哉・・・お兄ちゃま?」

「・・・っ、そうだ・・・」


の愛らしい微笑みと言葉に胸をうたれながらも
す・・・っとを抱き上げると、固まっている恋次を一瞥すると
スタスタと音もなく歩き出した










「あれ〜ぇ?六番隊長はんやないですか〜こないな所で何してはりますのん?」


突然白哉に声がかかる、その声の主を確かめる必要はない
その独特な喋り方は護廷広しといえど唯一人、三番隊隊長の市丸 ギンである
白哉は厭な奴に会ってしまったと少し眉を顰める


「・・・一番隊へ行った帰りだ」

「ふぅ〜ん・・・で、その腕の子ぉはどないしたんです?」

「兄には関係のないことだ」


白哉はギンを無視して歩を進めるが
ギンは気にすることなくに話しかける


「キミ、名前なんて言うん?ボクは市丸 ギン言うん」


いきなり話しかけてくるギンに
は白哉の腕の中でニコリと微笑んで『浮竹 です』と挨拶をした


「っっかぁ〜〜〜っ、可愛ぇなぁ〜ちゃん言うんか〜
 ・・・浮竹?って十三番隊長はん子供おったっけ?」

「お兄ちゃまのこと知ってるの?」

「お兄ちゃまって、ひょっとして・・・浮竹はんの妹?」

「うん、そう!」


満面の笑みで答えるを腕に抱きながら
ギンに心の中で舌打ちをしてさらに歩を進めると
よく知った霊圧が近くにいることに気付き、そちらへ向かう



「・・・吉良・・・」

「あ・・・朽木隊長」

「吉良、市丸を連れて行け」

「げっ・・・イヅル・・・」

「市丸隊長?!探したんですよ!!どこほっつき歩いてたんですか?!
 さぁ、帰りますよ!仕事が滞っているんですから!!」

「まっ待ってぇなぁ〜、そ・そやイヅル!見てみぃこの子
 浮竹はんの妹なんやて〜可愛ぇやろ?」

「浮竹隊長の?!た、確かに可愛いですけど・・・隊長!!
 僕は誤魔化されませんよ!さぁ帰りましょう、書類が待っていますよ」

「えっ?ちょ、イヅル・・・ぐぇっ、は離してぇな・・・く苦し・・・っ」


吉良はギンの襟首を掴むとズルズルと引きずるように連れていった
引きずられながらもに『バイバ〜イv』と手をふるギンに
も白哉の肩越しに手を降って見送った




暫く白哉の腕の中でゆらゆらと揺られていたら
緊張が解けたのかの瞼は重くなっていき
白哉が気付いた時にはすやすやと眠っていた
自分の腕の中の寝顔をみると、ふ・・・っと微笑んで歩を緩める
そんな白哉の姿をみた通りすがりの死神達は驚き、固まっていたとか




十三番隊隊舎に着くとちょうど海燕が部屋から出てくるところだった


「あれ?朽木隊長・・・って?!」

「煩い・・・が起きるではないか」

「すいません・・・あら〜幸せそうな顔して寝てますね〜
 でもなんで朽木隊長がを?」

「迷っていたので連れてきただけだ・・・浮竹は雨乾堂か?」

「あ、はい・・・俺が連れて行きましょうか?」

「いや・・・このまま私が連れていこう」

「はぁ・・・」


残念そうな海燕を恋次同様一瞥すると白哉はそのまま雨乾堂へと向かった



そのころ浮竹は書類を片手にお茶をすすっていた
そして白哉の霊圧に気がつくと珍しいこともあるもんだと思い書類を片付けた


「浮竹・・・兄に届け物だ・・・」

「白哉自らが持ってきてくれるとは珍しいことも・・・っ、?!」

「浮竹・・・あまり騒ぐな、起きてしまうぞ」

「あ、あぁ・・・すまん・・・どうしてが?」

「兄に会いに来たそうだ、迷っていたので連れてきたんだが・・・」



言いながらを浮竹に渡そうとしたら、小さな手が白哉の襟巻きを掴んで離さない
くす・・・っと笑って襟巻きごとを浮竹に渡す


「お、おい白哉・・・いいのか?」

「かまわぬ・・・」


浮竹が驚くもの無理はない朽木家当主の証ともいえる『銀白風花紗』
それをいとも簡単にに貸したのだ



「浮竹・・・を朽木家の養子「やらん!!」



「う・・・ん・・・」

「・・・ととっ・・・ふぅっ・・・白哉・・・いつまで此処にいるつもりなんだ?
 用は済んだんだろ?」

「そうだな・・・」


白哉はチラリとの顔をみて微笑み踵を返した


「妹を送り届けてくれてありがとう・・・」

「いや・・・」



浮竹は白哉の後姿を見送りそう言った
そしてを自分の布団に移すとその寝顔を見つめ
この可愛い妹は白哉の氷の表情さえも溶かしてしまうのかと深々と溜息をついた





小一時間ほど経ってが目を覚まして辺りを見回すと
自分の大好きな長兄の後姿が目に入った


「・・・お兄ちゃま・・・?」


可愛らしい声に振り向くと、これまた可愛らしい仕草で目を擦っている
やっぱりは可愛いなぁ〜と思って顔が(かなり)緩む


、起きたのか?」

「お兄ちゃま!」


座っている浮竹の膝の上に乗り抱きついてくる
そんな可愛い行動にさらに顔が緩むが
ここはちゃんと叱らなければと顔を引き締める


、また一人で出歩いて・・・駄目だろう」

「あぅ・・・ごめんなさい・・・だってお兄ちゃまに会いたかったんだもん」

・・・」


『お兄ちゃまに会いたかった』その言葉に額に手をやり感慨に耽る浮竹
その姿を見て兄はかなり怒っていると判断したはさらにしゅんとする


「・・・お兄ちゃま、怒って・・・る?」

「怒ってないよ、だけど心配するだろう?」

「・・・ごめんなさい・・・」

「ふむ・・・そうだ、・・・これからは俺の地獄蝶をつかって俺に連絡する事
 地獄蝶はが持っていていいから・・・なっ?」

「でも・・・お兄ちゃまのなんでしょ?」

「うん、俺が必要な時は呼ぶから大丈夫だ」

「・・・っ、ありがとうっお兄ちゃま!」

愛らしい妹の笑顔に心臓を鷲掴みにされて悶えそうになるが
それを堪えてふと白哉の襟巻きをどうするか・・・と視線を襟巻きにやる
それにつられても襟巻きを見ると不思議そうな顔をする


「お兄ちゃま、これなぁに?」

「あぁ、をここまで連れてきてくれた人のだよ」

「白哉お兄ちゃまの?」

「そうだよ・・・」


白哉が何故養子に・・・と言い出したのかを察知して沸々と怒りが湧いてくる

(あんのどシスコンめ!朽木(ルキア)だけじゃ足りんのか!!)

自分の事は棚上げにしてわなわなと拳を握る


「どうしてここにあるの?」

「あ〜、が握ったまま寝ていたから貸してくれたんだよ」

「ふ〜ん、そっかぁ・・・じゃあちゃんと返しにいかなきゃ」

「俺が返しておくからはいいんだよ」

「ダメだよ〜、だってが借りたんだもん」

「だが・・・」

「お兄ちゃま、白哉お兄ちゃまの所へ連れて行って?」

「・・・解かったよ・・・はぁ・・・」


可愛い妹のおねだりを断ることなどできるわけもなく
渋々を六番隊舎まで連れて行くことにした




方や六番隊舎では白哉の普段からあるべき物が無くて
見えなかったモノが見えるということで隊員達は驚いていた
そんな中、やってきたのは浮竹に抱かれている小さな女の子
その小さな腕の中には白哉のある物が収められていた
さらに驚きを隠せないでいる隊員達の中から
恋次が浮竹に向かって頭を下げた


「白哉はいるか?」

「あ、はい・・・ほんとに浮竹隊長の妹だったんすね」

「なんだ阿散井もに会ったのか?」

「はい・・・」


チラリとをみるとにこにこと浮竹に抱かれている


(少し前とは大違いだな・・・それにしても可愛いな・・・)


「えと・・・さっきはありがとうございました!」


笑顔でぺこりと頭を下げるに恋次の顔も緩む


「気にすんな、良かったな兄ちゃんに会えて」

「うん!」



の笑顔に六番隊員がふやけだした頃
辺りに冷たい霊圧が漂い出した


「騒がしいぞ、何事だ恋次」


隊首室から出てきた白哉を見ると
は浮竹に降ろしてもらい白哉の元へと駆け寄った


「白哉お兄ちゃまっ これ、ありがとうございました!」


言いながら白哉の襟巻きを両手で差し出すと
白哉は微笑みながら身を屈めそれを受け取った
その姿は六番隊に大きな衝撃を与えたとか・・・

の頭を撫でながら立ち上がり浮竹に向かって口を開いた



「浮竹・・・やはり「やらんと言ったらやらん!!」



この出来事と浮竹のシスコンっぷりは次の日には護廷中に広まっていた・・・
そしてに目を付けたやっかいな人物がもう一人いることを浮竹はまだ知らない・・・








シスコン浮竹第2弾です!
元祖シスコンの兄様に登場していただきました
なんか・・・逆ハーちっくだなぁ・・・