小春日和  其の壱


『ただいまでござる・・・』



繋いだ小さな暖かい掌、向けられる花のような笑顔
最愛の人であるに瓜二つの拙者の娘、

そして、の双子の兄で拙者に瓜二つの剣護


何よりも大切な護るべき『家族』が出来た・・・・・・






「はっ・・・!」

「やぁっ!」


庭から掛け声と共に木のぶつかる乾いた音が響いている
ひょっこりと覗いて見ると、剣護と斎藤の息子の勉が木刀を振るっていた
どちらも筋が良い・・・というか斎藤に息子がいるということに驚いたのはつい先日だ
奥方である時尾殿に会った時にその場にいたのだが・・・・・・
二人とも人あたりが良く本当にあの斎藤の・・・?と不思議に思ったものだ


「はぁっ!!」

「あぁ!?」


ガスッッ


そう考えていた瞬間、額に衝撃を受けチカチカと星が見えた


「お゙ろ゙っ!お゙ろ゙ろ゙ろろぉ〜〜〜」

「・・・・・・なにやってんだよ・・・」

「す、すみませんっ剣護君の父様!!」

「痛たた・・・だ、大丈夫でござるよ」



どうやら剣護が弾き飛ばした木刀が飛んできたようだ
それを拾って勉に渡してやると申し訳なさそうな顔をしている
そんな表情を見ると、本当に斎藤の血を引いているのか疑いたくなる

そんな勉とは違って剣護は・・・師匠の元で修行をしていた頃の拙者によく似ている
あの頃の自分を見ているようだ、生意気な所とか、生意気な所とか生意気な・・・・・・

そう、悲しいことに拙者は何故か剣護に嫌われている・・・
出会った時からそうだった

逆に娘のには懐かれている
拙者に母と妹をとられたとでも思っているのであろうか?





拙者には両親と言うものが居なかったから
どう接していいのか解らない

誰かを参考にしてみようかとも思うのだが・・・
親代わりであったような気がする師匠・・・・・・・・・駄目だ
身近にいるのは、斎藤・・・・・・余計に解らなくなる
というか斎藤が父親として子供に接していることが想像できない


自分らしくあればいいとは言ってくれるが
嫌われているというのはやはり寂しい



「ったく、斎藤先生と互角に闘りあったっていうなら
 あれくらい避けれなくてどうするんだよ・・・」

「剣護君・・・」

「フンッ」


剣護と勉、性格が入れ替わっているんじゃないか?
そう思う時は度々・・・かなりある
まぁ、生まれた時から斎藤が傍に居たのだから仕方ない・・・のか?
なんとも複雑な気持ちになってしまう




「父様!!」

・・・の手伝いは終わったのでござるか?」

「うん!あれ、父様のおでこ赤くなってるよ?」


笑顔で駆け寄ってくるはこの上なく可愛い
心配そうに見上げてくるその姿に愛しさがこみ上げてくる
これが親の気持ちというものなのだろうか・・・



「剣護がやったの!?」

「何で俺なんだよ!!飛んでった木刀を避けなかったのが悪い!」

「け、剣護君、ちゃん・・・」


感慨に耽っていたら小さな喧嘩が勃発していて
傍に居る勉はおろおろとしている



「剣護は父様が嫌いなの!?」

「んな事誰も言ってねーだろ!追い越したいだけだ!!」

「二人ともやめてよ〜」




「追い越したいんだって・・・良かったわね嫌われてなくて」

・・・あぁ、そうでござるな」


いつの間に隣に来たのかは優しく微笑んでそう言ってくれた
剣護の本音が、の優しさが、どこか擽ったくも心を暖めてくれた











斎藤さんの息子である藤田勉君は実際にいらっしゃいました
がっ明治9年生まれなんですよ
なので剣護君と立ち会ったりましてや話すなんてことはできないのですが
そのあたりはどうぞスルーしてやってくださいませ(笑