【忍耐】



「すまない・・・」

「は?」

「俺達に悪気はないんだ」

「そう!悪気は無かった・・・ただ俺達にはこうするしかなかった」

「・・・・・・何の話なんだ?」



珍しく一人で寛いでいた剣心の元に同じ宿を使っている志士達が訪れ
各々平謝りをしてくる、何故謝られているのか判らない剣心は眉を寄せた


「いやぁ・・・その、だな・・・」

「桂先生が今日も帰られなくてな・・・」


その言葉に剣心は更に眉を寄せる


「幾松さんが酒を持ち出してだな・・・・・・」

「はぁ・・・を姐さんの所に置いてきたということか・・・」



剣心が壁に立て掛けてあった刀を手に取ると
押しかけていた男達がいっきに後退さる


「お、落ち着け緋村」

「そ、そうだ落ち着いてくれ。それに既に犠牲者が数人でているんだ」

「だから幾松姐さんのお気に入りのを差し出すしかなかったんだっ」

「お前がのことを弟のように大事にしていることは判っている」

「・・・・・・落ち着いている、それにを置いてきたことは賢明な判断だ
 酔った姐さんを諫められるのはだけだ・・・・・・警護のついでに迎えに行ってくる」


「「「い、いってらっしゃい・・・(助かった・・・)」」」



深い溜息を吐きつつ剣心は幾松の家へと向かった






その頃・・・・・・・・・



「ちょっと、聞いてるのかい!?君っ」

「はいっ、はいはいきーてます、聞いてますよ。姐さん」

「男ってぇのはね〜、ちょーっと優しくするとすぐに付け上がるんだ
 あの人がいい例だよ、君も気を付けて・・・・・・うんたらかんたら」



杯を片手にに絡む幾松
その周りには屍と化している輩が数人、意識を飛ばしている
幾松は上機嫌にに酒を飲ませる


「なんだいちびちび飲んで、景気良くいっきに飲みな!」

「ね、姐さん・・・うわっ、ちょ・・・むぐぅ・・・・・・ごふっ、ケホッ」


きつい酒がの喉を焼く
とて酒が飲めないわけではない、むしろ好きなほうだ(父親の影響)
だが、今は幾松の警護という仕事中
幾松に逆らうと更にやっかいになるのでちびちびと飲んでいた
それが気に入らなかったのか幾松は徳利を鷲掴み
杯に注ぐように無理やりの口に酒を流し込んだ



「〜〜〜〜〜〜〜っ(板垣さん、門脇さん・・・その他の方々、恨みます!!)」

「い〜い飲みっぷりだね」

「いや、これ以上は・・・ぐっ・・・・・・俺、仕事・・・」

「仕事なんてあの人に任せちまえばいいんだよっ」


手当たり次第に酒を飲まされ一気に酔いが回ってくる
その結果・・・




「うにゃぁ〜・・・」

「おや、もう酔っちまったのかい?」

「酔ってまふぇんよ〜ぉ」

「可愛らしいねぇ・・・私が男だったら放っておかないんだけどね〜」


へらへらと笑いながら更に酒を飲む
幾松もいい加減酔いが回ってきているので話が妖しい方向へ向かう







漸く剣心が幾松の家に着いた
漂ってくる酒の匂いにどれだけ飲んでるんだと頭が痛くなる
がいるであろう部屋の襖の前に来ると話し声が聞こえてくる


「ところで君・・・緋村君とはどうなんだい?」

「緋村、ですかぁ〜?どうって・・・なにがですかぁ?」

「まだまだのようだねぇ〜、ここは・・・お姐さんが色々と教え「失礼します!!」



剣心がスパンと襖を開けると視界に飛び込んできたのは
幾松がを押し倒しているところだった


「んなっ、何してんですか姐さん!!」

「ん?緋村君じゃないか」

「へ?緋村ぁ?」



なんとかを幾松の魔手(?)から取り戻すと
幾松からずいっと杯を突き付けられる
それを溜息を吐きつつ受け取りあおる、腕の中にはいまだがいる
は温もりが嬉しいのかそのまま剣心の胸に擦り寄る


「剣心〜〜」

「は・・・?(剣心?・・・っ、こいつ酔ってるな・・・)」

「おやぁ?いつから君は緋村君の事を名前で呼ぶようになったんだい?」

「最近ですよぉ〜、せめて二人でいる時は呼んでくれってぇ・・・むぐぐっ」

「っっ!!(まずい・・・姐さんに格好の餌を与えてしまった)」

「へぇ〜」


ニヤニヤと笑う幾松に剣心は別の意味で慄いた
剣心の手で口を塞がれているが
そんな事はお構いなしに剣心に抱き付いている
普段は見せることのない甘える姿に思わす緩みそうになる頬を引き締める



「剣心、剣心」

「ん?」

「私も飲む〜」

「駄目だ」

「なんでぇ?」

「もう随分と飲んだだろ・・・それ以上酔う気か?」

「酔ってないもん」



剣心の持っている杯に手を伸ばすがそれを遮られて、むう・・・と唇を尖らす
その可愛らしい表情と潤んだ瞳に剣心の理性がぐらつく


「・・・・・・っ」

「若いねぇ、緋村君」

「姐さん・・・・・・」

「それじゃぁ、そろそろお開きにしようかねぇ
 空いてる部屋を使ってくれていいよ
 そんな姿の君を連れて帰るわけにはいかないだろ?」

「はぁ、姐さんの警護もありますし・・・」

「警護!?そんなの必要ないよ
 緋村君は君についててあげな
 なにかあったらそこら辺に転がってるのを叩き起こすから」

「なにかあってからじゃ「いいからっ、それにこんな夜更けになにがあるってんだい?」



否応なしに押し切られ、自分に抱き付いているを抱き上げ
空いているだろう部屋へ向かう

幾松の家には警護のためにいつも誰かしらが泊まるので
それ用の部屋がいくつか用意されている




、布団を敷くから少し離れてくれ」

「嫌」

・・・少しの間だけだから」



部屋に入り抱えていたを降ろすが、は剣心に抱き付いたまま離れようとしない
何を言っても首を横に振り、仕舞いには剣心の胸に顔を埋めてしまう

布団を敷くのを諦めて、溜息を吐きつつ壁に寄りかかるようにして腰を降ろす
その間もは剣心に抱き付いたままだ

酔っていることは解っている、というか酔っているからこその姿だ
酒の匂いと共にの甘い香りが鼻を擽る
先ほどまでは傍に幾松や仲間(意識はなかったが)がいた
普段から布団を並べて寝ているので普通にしていれば問題ない
だが今はが抱きついていてかなり密着している状態だ
鉄壁の理性を総動員してなんとか堪えている(何をだ)



「剣心・・・」

「どうした?」





酒のせいで上気した頬と潤んだ瞳、胸に感じる軟らかい感触に
鉄壁の理性は総崩れ、逆に今にも崩れそうな足元の絶壁の淵に立っているようだ



「傍に、いてね?」

「っっっ!!!」


突き落とされた・・・・・・


噛み付くように口付けて、その軟らかい唇を貪ると
頭の芯が甘く痺れる

唇を口内を舐めあげるとから甘いと息が零れ更に剣心を煽る
次の行為に移ろうとするが、なけなしのそれも髪の毛ほどの理性がそれを止める



「・・・・・・(は酔っている、このまま襲えば外道だ)」


ぐっと堪えるように唇を離すと
の濡れた唇からは規則的な呼吸が繰り返されている


・・・?はぁ・・・・・・・・・(やはり、このオチか・・・誰かの陰謀か?)」



がっくりと脱力して布団を引き寄せそれにと包まる
穏やかな寝顔のを見て、人の気も知らずに・・・と苦笑して目を閉じた






その翌日、二日酔いに苦しむと幾松にからかわれ続ける剣心がいた・・・・・・・・・













121212HIT キリリク 久遠様 ありがとうございました!!
酔ったヒロインさんで糖度高めとのことでしたが、いかがでしょうか!?
幕末の頃のポニテ剣心が好きなもので幕末話になりました(汗

久遠様のみお持ち帰りOKです!!