「・・・っつう訳で、あん時の話しの続き聞かせろよ」
「どういう訳か解らぬでござるよ、左之」
「いいから話せ」
調合し終わった薬を小分けにして紙に包んでいる剣心は「またか」と
呆れたような視線を左之助に向けた
ここで押し問答をしても先日のように負けることが判っている剣心は
溜息を吐きつつ口を開いた
「姉ちゃん一人なら俺「そいつは俺のだ、諦めろ」
待ち合わせ場所に行けば三回に二回は男に連れて行かれそうになっている
が悪い訳ではないからを怒ることができない剣心は
殺気を放ちつつ男を睨むと、男は真っ青になってその場を去る
剣心が何故殺気を放っているのか解らず、きょとんと見上げる
毎度の事ながら剣心は脱力してしまう
「剣心・・・?」
「なんでもない・・・行くか」
「うんっ」
手を差し出せば嬉しそうにそれを握るについ笑みが零れる
昼間の二人は甘ったるい空気を回りに振りまいていた
時折その場に居合わせた土方や斎藤は苦虫を噛み潰したような顔を剣心に見せ
には、決して剣心に向ける事のない暖かい顔を見せ、頭を撫でてその場を去っていく
沖田に至っては真っ黒いオーラを背後に背負い行動を共にする事もあった
「僕の大切な妹分で副官ですからね、何かあったら困るんです」
その言葉に嬉しそうに笑うに沖田は微笑んで
剣心にはニヤリと意地の悪い微笑みを見せた
「何かなんてあるわけないだろう・・・」
「そんなこと判りませんよ、が何も知らないことをいい事にあんな事やこんな事を・・・」
「何の話だっ!!」
「沖田さん、私の知らない事って何?」
「はまだ知らなくていいんだよ」
「まだっていう事はそのうち教えてくれるんですか?」
「そうだねぇ・・・トシさんがそのうち・・・・・・」
「土方だと!?・・・それはまずいんじゃないか?ヤツは実践で教えそうだ・・・」
「・・・それもそうですね・・・だからと言って・・・・・・僕は許しませんよ?」
このようなやり取りが沖田とは繰り返された
夜になれば互いに鬱憤を晴らすかのように激しい闘いとなったのは言うまでもない
余談だが、沖田達はが何も知らないと思っている事は
屯所の近くに遊郭があることもあって、既に土方から教わっていたのである
逢瀬を重ねている間に激化する佐幕派と勤皇派の争い
遂に鳥羽伏見の戦いが勃発し、佐幕派の敗戦でその幕を閉じた
敗走する中、は時間を貰い剣心とよく行っていた場所に立ち寄った
それは近藤や土方、沖田の思いやりでもあった
「・・・?」
「剣心!?」
最初は驚いていた二人だったが互いの無事を確かめるように抱き合った
自分を包む桜の香りに剣心は安堵の溜息を漏らす
「良かった・・・無事で・・・・・・」
「あぁ・・・、お前も・・・・・・」
涙を見せるの頬を撫で、そのまま唇を重ねる
唇を離し、を見ればその瞳は哀しみに濡れていた
「、俺と一緒に行かないか?」
「剣心?」
「俺は長州派を抜けた、これから旅に出るんだ」
「・・・・・・嬉しい・・・嬉しいけど、一緒には行けない
私は新撰組隊士、近藤先生達を裏切る事はできない」
「・・・っ」
「ごめんなさい・・・剣心」
涙を零しながら謝るを剣心は抱き締めた
分かれてしまった互いの道
どうすることも出来ないのかと剣心は唇を噛み締める
兄と慕ってきた者達を裏切る事などには出来ないだろう
その事実を剣心は受け止めるしかなかった
自分を抱き締める剣心からそっと離れると
涙を拭い、剣心に微笑む
「見送らせて?」
「・・・っ、あぁ」
「いってらっしゃい・・・次に会う事があればその時は
『おかえりなさい』と言ってあげる・・・身体に気を付けて・・・
その心の片隅でもいい・・・私の事を覚えていてね・・・」
の言葉を聞いて剣心は噛み付くように唇を奪い
その温もりを自分に刻み込むかのように深く口付け
固く拳を握りに背を向けた
「いってくる・・・・・・」
剣心が足を踏み出した時、ひらり、ひらりと白いものが舞い出した
晴れ渡った青空から舞い落ちてくる雪は二人歩いた桜並木を思い出させる
その頃と違うのは互いに一人、違う道を歩いているという事
剣心の姿が見えなくなるまで見送ったは雪の舞う空を見上げた・・・
「・・・で、この前再会して今に至ると・・・」
「そうでござる」
「だいぶ端折ったんじゃねぇの?」
「拙者はそのつもりはないのだが・・・(管理人の頭が足りぬのでな)」
「そうか?(それもそうだな)」
「左之、今日も夕餉を食べていくのでござるか?」
「あたりまえだ」
当然と言うように笑う左之助、幕末の頃に思い描いた事もあった
暖かな生活に剣心は嬉しそうに笑った
一度は別れた道がまた一つに重なった
この春には家族で花見にでも行くかと考える剣心だった
そこには哀しい風花ではなく暖かい花びらが舞うことだろう
133331HIT キリリク 響様ありがとうございました!
桜花で幕末ということでしたが、いかがでしょうか・・・?
前編だけの予定だったんですが(タイトルも違いました)
甘さのかけらもない・・・ということで前後編になってしまいました(汗
そして端折りまくりでスミマセ・・・っ
最初はお子様達に馴れ初めを聞いてもらおうかと考えていたんですが
母親に聞くだろうと思って急遽左之助に変更・・・
響様のみお持ち帰りOKです!
ついでに書き直しもOKです(笑