【二日目】
とは別の部屋を用意するというのを辞し、布団を並べて眠るが
浅い眠りを続けて朝を迎える
「起きろ、兄、緋村!朝だぞォッ!!」
騒がしく部屋に入ってくる操と念至
剣心は身支度を終えたところで、にいたっては身支度を既に終えていた
「って、なんだもう起きてたんだ
寝ぼけ面、見ようと思ったのに。兄はあたしより絶対に早起きだけど、緋村までとはね」
「おろ?操殿、その恰好!」
「京都での普段着よん
いくらあたしでも、あの忍び装束で地元を歩き回るのはちょっとね」
甚平に身を包んだ操はくるりと回ってみせた
「おはよう、翁、操」
「おはよ、兄」
「おはよう、君
さて、支度が整っているならゆくぞ緋村君」
「おろ」
「京都も十年経って大分、様変わりしたからの
今日は一日かけて案内しようぞ。君はどうするかの?」
「俺は…ちょっと、寺まで…」
剣心から視線をずらし呟く
「……」
「久し振りに京都へ来たからさ、壬生寺へ…その後合流するよ。でもさ…」
「そうでござる、拙者が白昼ノコノコと出歩くのはまずいでござる
いつどこで志々雄の手の者に感付かれるか」
「何、相手はあの志々雄なんじゃ
逃げても隠れてもいずれ見つかるわい」
「しかし!」
剣心とはしぶるが、念至は笑って一蹴する
「緋村君、君はこの国の人々のために志々雄達と闘うのじゃろ
君はそんな緋村君についていくと決めていることじゃし…
ならば、常に正々堂々構えておれ。それが『正しき男』の流儀じゃ!」
「「…………」」
帽子を被り、杖を手にしながら高らかに笑う念至に閉口してしまう剣心と
そんな二人に操は小さい声で囁く
「ここだけの話だけどね、爺やは幕末は隠密御庭番衆
次期御頭の最有力候補に挙がっていた程の凄腕だったのよ
けどね、『これからは若い者の活躍する時代じゃ』と言って
蒼紫様を御頭に推薦して、自らは端役の京都探索方になったんだって
今じゃただのイカレじじぃだけどね」
「へぇ…それは初めて聞いたな」
が目をまるくして聞いた後、一足先に壬生寺へ行くべく葵屋を出た。
新井赤空の死亡と、その全ての技術を伝授された息子の青空の存在が知らされ
三人がその青空のもとへ行き、逆刃刀を打ってもらうのを諦めて戻ることとなったのを
佐助からが知らされたのは、寺からの帰り道だった。
「……で、なんで俺の部屋の壁に大穴が空いてんの?」
「いや、その操が緋村君に…な」
が声を低くしてきけば、念至が苦笑しながらことの顛末を話す
一方剣心は冷や汗をかきながらお茶を啜っていると
その額に鳩の嘴が物凄い勢いで刺さった
「おろ!!」
「わ!!」
「重婆の所のルの一番じゃないか?」
「おろ?」
「ちょ…大丈夫?緋村」
再び流血する剣心の額を持っていた手拭いでおさえる
念至はそんな二人をさらっと無視して御庭番衆の伝書鳩だと説明する
「なんじゃ操からか、ふらりと出かけたと思えばいったい」
結ばれていた手紙を読むと念至の顔が真剣なものへ変わる
それを見た剣心とも表情を引き締める
「青空の息子が、志々雄一派の者に拉致された」
聞くなり剣心とは葵屋をとびだした
「まて緋村君!君の逆刃刀は折れて使えん!
行っても存分に闘えるはずもない!返り討ちが必定じゃ!
君も!守りながら闘うのは危険じゃ!緋村君!!君!!」