【山崎】
空が白み始めた頃、目覚めたは山崎を目指す
山崎では既に開戦され、剣戟、鎧のぶつかる音、雑踏がの聴覚を支配し
硝煙と鉄の臭いが嗅覚を支配した。
「・・・───これが、合戦・・・島原とは違う・・・本物の戦・・・」
ふるりと身体を震わせ、天王山近くの崖の上からその様を見渡す
一方、陣幕では
「信長様の仇討ちじゃ!光秀の首、必ず獲るぞ!
秀長!本陣は任せた、しっかり守れや!」
「はっ!」
「なぁ・・・ねね、一足先に天王山で待っててくれんか?」
「はいよ、お山の上でお前さまを待ってるからね」
秀吉が檄を飛ばし、側に控えていたねねに天王山奪取を頼む
くの一であるねねは、一人天王山を目指し行動を始めた。
の方は、光秀に兄・長政の言葉を伝え
且つ、逃亡の手はずの算段をつけるため、戦の流れを見ていた
「あれ?誰かこっちに来る?」
木の陰をうまく使い、崖をひょいひょいと登ってくる影を視界に捉え、素早くその身を隠す
『あれは・・・昨夜の・・・・・・向かう先は天王山山頂か・・・
確か、天王山を占拠した羽柴軍が戦を有利に進めて勝ったんだっけ
明智軍の退路は・・・あの辺りにある寺が妥当かな?
なら、寺に向かった方が動きやすいな」
ねねの姿を見送り、は戦場を迂回して寺・・・勝竜寺近くで身を潜めた。
ねねの通った崖とは正反対の山道を秀吉達が使い天王山を目指す
轡を並べている青年の将に秀吉は口を開く
「三成よ、この戦何で勝つ?」
「・・・道理、かと」
「そうさなぁ・・・それでもわしは勝っとるなぁ・・・だがな、この戦
わしは想いで勝つ。でなくば天下は続かんよ」
ニッっと青年、三成に笑みを見せ、馬の脚を速めた。
秀吉達が天王山の中腹に到達した頃にねねは山頂を取っていた。
「お前さま、早くおいで〜」
伝令が秀吉の元へ駆け寄り、ねねが天王山を奪取した事を伝える
「よっしゃ、でかした!清正!天王山に兵を送れ!
明智に天王山を渡すわけにはいかん!
三成、わしらはそのまま天王山へ向かうんさ」
「はっ」
天王山山頂に辿り着いた秀吉は戦場を見下ろし、次の指示をだす
「勝竜寺を攻めるぞ!明智の退路を絶つんじゃ!」
秀吉の号令のもと、福島正則が兵を率い、勝竜寺を目指す
本陣、天王山、明智軍本陣前の平原、勝竜寺攻略と羽柴軍は分かれ
光秀の元に羽柴軍、天王山奪取と勝竜寺攻略の知らせがはいる
「そう簡単には・・・!今です、伏兵に伝令を!」
天王山の兵力が分かれたのを見極め、伝令を走らせる
勝竜寺攻略隊が充分に天王山から離れたのを確認した安田国継・伊勢貞興ら将が天王山山頂付近に現れる
「光秀もやるのぅ・・・伏兵とは」
「秀吉様、お退りください。ここは私が・・・」
三成が己の武器である鉄扇を手に、少数の兵を率いて伏兵撃破に向かう
続いて勝竜寺付近に伏されていた明智軍の斎藤利三・柴田勝定らが兵を動かし勝竜寺の防衛を始める。
は大木に登り、木の葉で身を隠しつつ戦況を見ていた
「へぇ・・・確か、羽柴軍約四万、明智軍約一万六千だったかな
兵力差を伏兵、奇襲で補おうとしてる・・・・・・ん?あれは・・・どちらの援軍かな?」
別方向から一軍が勝竜寺に向かってきているのに気付いた。
「筒井家、家臣 島左近!義によって秀吉殿にお味方申す!!」
そんな声がの耳にも届いた
「島・・・左近、あの島左近?あれ?山崎に参戦してたっけ?あれ?
じゃぁ、ここであの二人は出会うの?」
の胸が高鳴る、には一目で良いから会ってみたい将がいた。
それは石田三成・・・祖父・柳生宗矩と祖父に倣い父・十兵衛が師事していた沢庵和尚
も又、和尚から学んでいた。その和尚の話の中によく出てきた人物が『石田三成』であった。
世界は違うが過去にやってきた、幼い頃から聞かされ学んできた人物に一目会いたいと思っていた。
「石田三成・・・この世界ではどんな人なんだろう・・・・・・」

