Moonlight Affection 04
昨夜できたばかりの恋人に
昼間会おうとサボリを決め込んでいた喜助は
阿近に見つかり椅子に縛り付けられ仕事をさせられていた
「阿近〜、ほんの少しだけっスから〜見逃してくださいよ〜」
「ダメです!唯でさえ十二番隊の仕事が滞っているのに
さらに局(技術開発局)のまで仕事が山積みなんですよっ」
「阿近の意地悪〜」
「隊長・・・いい歳した男が気持ち悪いですよっ
十二番隊のは今日中にやってもらいますからねっ」
「そ・・・それはないっスよ〜今日の夜は・・・」
「なんか約束でもあるんですか?」
「そっス、阿近はアタシの邪魔をすると馬に蹴られてしまいますよ」
恨めしそうに阿近を睨みつける喜助に呆れた・・・とばかりに溜息をもらす
「女・・・ですか、隊長が珍しいですねぇ・・・本気なんです?」
「おや阿近、アタシは何時でも本気ですよん」
「本気だろうがな何だろうが今日中に仕事は終わらせて貰いますっ
馬に蹴られようが、犬に噛み付かれようがかまいませんっっ」
喜助の前にバサッと書類の束を置いて
自分の机に戻る(喜助を見張るため喜助の机のすぐ傍に簡単に作った)
「隊長は隊長で放浪癖があるし、副隊長は副隊長で局に篭りっぱなしだし
どうなってんだよこの隊と局は・・・」
「おやぁ、マユリちゃんはまだ篭ってんスかぁ?それに
放浪癖の隊長ってアタシのことっスか?」
「・・・ずっと篭ってます・・・はぁ・・・放浪癖の隊長って
アンタしかいないでしょーがっ何処へでもフラフラふらふらとっ」
喜助は仕方なく昼の逢瀬は見送り、面倒くさくても仕事を片付けだした
夜、と会うために
今宵も綺麗な月夜だった
喜助はウキウキしながら酒の用意をしだした
といっても酒をもっていくだけだが
盃はが用意すると言っていたからだ
そんな喜助の後姿を見ながら阿近は深い溜息をついていた
「・・・いつもこの調子で仕事を済ませてくれていたらいいんですけど」
「何言ってんですか阿近、タマにするからこそイイんですよん」
「訳のわからないことを言わないでください」
「♪〜よく冷えてますね、それじゃ後は頼みましたよ」
「ハイハイ・・・とっとと何処へでも行ってください」
すでに喜助の姿は無く、阿近は片手で顔を覆い天を仰いだ
が雨乾堂の湖に着いた時には既に喜助が来ていた
「こんばんは、喜助さん」
「こんばんは、サン」
昨夜と同じように挨拶をかわし
喜助が空の月も、湖の月もよく見える所に座を設えていた
は薦められるまま座り、抱えていた柴紺の包みを解いた
中には瑠璃硝子の盃と酒の肴にと簡単な料理が入っていた
暫く二人で盃を傾け料理をつまんだりしていた
時折月を見上げるは儚く見えて喜助の胸を締め付けた
「昨日、サンが言っていたように今日も月が綺麗っスねぇ〜」
「そうでしょ?月は昔女に例えられていたけど・・・私は人の心のように思うの
満ちたり欠けたり・・・」
「・・・そうかもしれないっスね」
「私・・・昔ね、すっごく昔なんだけど『月読』と呼ばれていた時があったんだ・・・」
「『月読』・・・ですか?」
「そう、月が好きで毎晩毎晩見上げていたから・・・かな?」
「御伽噺の『かぐや姫』みたいっスねぇ」
「それも誰かに言われた・・・でも、私の帰る場所は何処にも
月にすらもなかった・・・って何言ってるんだろ」
へへっと、は誤魔化すように笑った
その顔は哀しげで辛そうな笑顔だった
「だったら、アタシがサンの帰れる場所になりましょう?」
「喜助さん・・・?」
は瞳を見開き喜助を凝視した
みるみる涙がその紅い瞳に溜まっていく
「アタシじゃぁ、役不足かもしれませんがね
サンが何処にいても、何をしていても、例え何者でも
アタシはサンのことを想って待っていますよ・・・何処にいても」
アタシじゃだめですかねぇ・・・と苦笑を漏らす喜助の胸に飛び込んだ
「・・・っ、喜助さんが・・・いい・・っ」
が飛びついてきた反動で盃を落としそうになりながらも
その細い身体を受け止め、抱き締めた
腕の中の出来たばかりの恋人は細い肩を震わせ涙を零した
頬に伝わる涙を唇と指で拭い
「じゃあ決まりっス、必ずアタシの所に帰ってきてくださいよ
何処にいても・・・それに、サンはアタシの帰る場所っスよん」
拒否権はありませんからvという喜助の胸の中で
ただ頷くだけしかできなかった
そんなの頭を愛しげに撫で、頬と顎に手を沿え自分の方を向かせた
その顔は先程のように儚げではなく、小さな子供にみえた
まるで迷子になっていた子供が親を見つけた時のような・・・
ふ・・・っと目を細めの唇に自分のそれを寄せていった
重なる唇、それは昨夜と同じ約束の口付け
今までに誰が言ってくれただろう・・・自分の所に帰ってこいと
誰にも言ってはもらえなかった・・・自分を待っていてくれるなどと
そして自分を帰る場所だと言ってくれた・・・
嬉しくて涙が溢れた、喜助を愛しいと思った
そして護りたいと・・・
*おまけ*
夜、浮竹が外の風をいれようと襖をあけると湖の向こう側になにかが見えた
「誰かいるのか・・・?」
目を凝らすと見知った人物
「浦原・・・?なにやってんだアイツ・・・不自然な格好して・・・
それに何も無い所に向かって話をして・・・ついにおかしくなったか?!」
翌日、十二番隊に浮竹から見舞いの品が送られてきて
隊員達は頭を捻りまくったそうな・・・
りお 「今だヒロインさんの正体が書けていませんっ(汗
喜助 「文才がないんスよ」
りお 「そんな事は解かってます!
本当は夜サンを酒盛りに乱入させようかと思ったんですが・・・別の機会にと・・・」
喜助 「な・・・っアナタは知らないから・・・夜一サンの酒癖を・・・」
りお 「あ?」
夜一 「喜助・・・今度ゆっくり話をしようかのぅ?」
喜助 「よ、よよよよよ夜一サンっ、あぁっそう言えば仕事がっっ(脱兎」
夜一 「困った奴よのぅ・・・そういえば今回の喜助と阿近は今の
何処ぞの隊の隊長と副隊長のようであったの」
りお 「あ、あはははは〜」
夜一 「此奴も困った奴じゃ、 ここまで読んでくれて礼をいうぞ」
りお 「あぅ・・・(勝手に締められた・)ありがとうございました」