Moonlight Affection 10
喜助の誕生日から数ヶ月、流魂街は更に虚の出現率が上がっていた
虚の種類も大虚に破面までもが混ざり、隊長格の死神達は大忙しだった。
その忙しい合間をぬって、のほほんと隊首室でお茶をしているのは
零番隊隊長 、十二番隊隊長 浦原喜助 隠密機動総司令官 四楓院夜一
「破面まで出てくるなんてね〜、まぁ・・・成体でないのが救いよね」
「そうっスねぇ・・・夜一サンの方もやっぱり忙しいんスか?」
「あたりまえじゃ、しかし・・・何故このような事態になっておるのか・・・」
「それよねぇ・・・そのうち遮魂膜まで突き破ってきそうな勢いよね」
「そうじゃのぅ・・・」
会話はかなり深刻な内容なのに、醸し出している雰囲気はほのぼのとしているのは
この3人であるからだろう・・・ゆっくりとした時間が流れようとした時だった
ガァン!ガンガンガンガン
『緊急警報!緊急警報!瀞霊廷内に大虚が出現!!各隊守護配置について下さい!』
「「!!」」
「あ〜言ってたら本当になったね」
「サン・・・」
「!喜助!あれを見よっ、“空紋”が!」
夜一の指した方を見上げれば、空に歪ができ、今まさに大虚が降りてきている
3人は視線を交わすと頷き合い瞬歩でその場を後にした
「瑠璃、蘭丸、!一般隊士を保護隔離して!その旨を各隊に連絡!」
「「「はいっ!」」」
次々と降り立つ大虚に混ざり破面も降り立つ
その群れの中には斬り込んでいく
続いて各隊の隊長達も現れ、に続く
既に大虚は数百に及び、迎え撃つ死神達は数十名になっていた
ギギッギ・・・キィィィィ !
「虚閃・・・っ!瑠璃っ蘭丸っ、皆を退がらせて!」
「「はいっ」」
「サンっ!」
「喜助も退がって!・・・卍解・・・〈月華神威〉」
複数の虚が虚閃を放つと同時には卍解し虚閃を受け止める
瑠璃と蘭丸の手によって広範囲に二重断層結界が張られ
護廷の死神達は手出しができなくなる
「瑠璃さんっ蘭丸さん!どうして私まで結界から出すんですか!?
私も隊長と一緒に・・・!!」
「、すまない・・・俺達は・・・」
「山本総隊長・・・どうか の事をお願いいたします。と
隊長から言付かっております・・・」
「うぬ・・・、もしや・・・お主等は・・・っ」
瑠璃と蘭丸は寂しそうに微笑むとの元へ駆けていく
一言二言、言葉を交わすとが喜助の元に現れる
「サン・・・」
「少し・・・虚が残るかもしれないけど・・・喜助も夜さんももいるし・・・
黒腔が開ききればもっと多くの破面が降りてきてしまう
だから・・・内側から閉める。ごめんね・・・喜助・・・」
「どうして・・・謝るんです?サンっ」
「少しの間・・・傍を離れる事を許して・・・私の帰る場所は喜助の所だけだから・・・
・・・だから・・・さよならは言わない・・・・・・行ってきます・・・!」
ふわりと微笑み踵を返し、そのまま振り返ることなく突き進んでいく
「待ってください!サン!サン!!」
何度も名前を呼びながら結界を壊そうと、刃を立て拳で殴る
その手からは血を流し、それでもなお結界を叩き続ける
は結界に縋り付き泣き崩れ、夜一は唇を噛み絞めを見つめ続けていた
と瑠璃、蘭丸が開放した力は絶大で、大半の大虚は殲滅され
残り僅かとなった時に、3人は空紋へと向かった
「ごめんね・・・瑠璃、蘭丸・・・付き合わせちゃって・・・」
「いいえ・・・私達はあなたと共に在る者です・・・」
「そうですよ、あなたと一緒ならどこまででも行きますよ」
ジャゴォォォァァァアアア
空紋が収縮を始める
は地上を見下ろし、自分の名を叫び続けている恋人に目を向ける
「喜助・・・愛してる・・・」
そう呟き、最高の笑顔を送った・・・
シャァァン・・・ッ
空紋が閉じる寸前にの唇が動き
喜助はその言葉を読み取った
『喜助・・・アイシテル・・・』
「サン!・・・っ、 っ!!」
完全に空紋が閉じると、張られていた結界が解ける
残された大虚を殲滅させるべく喜助とを除いた死神達が動き出す
「・・・サン・・・・・・」
「隊長ぉ・・・ど・・・して、私を置いて行くんですか・・・隊長ぉ!」
「浦原・・・・・・これが、残っていた・・・」
「浮竹サン・・・?」
喜助の元にやってきたのは浮竹、その手にはの羽織っていた黒い陣羽織と〈緋炎〉
それを受け取り抱きしめる喜助の頬に一筋の光
浮竹は何も言わず喜助の方を叩くと、の元へ歩み寄る
同じように山本の姿もあった
「・・・お主の事は殿より頼まれておる・・・
この戦いで隊長が4人ほど抜けてしまった・・・一つの隊をお主に任せる事になると思う
良いかのぉ・・・?殿はお主の成長をそれは楽しみにしておった・・・」
「・・・は・・い・・・」
が頷くのを見てにこりと何処か寂しそうに笑い、浮竹に「後は任せる」と告げて背を向ける
喜助もいつの間にかふらりと踵を返しその場を後にした
瀞霊廷内は半壊状態で復旧作業に追われる日々が続く中
抜けた隊長の席を埋めるべく隊首会が行われた
三番隊隊長に市丸 ギン、七番隊隊長に狛村 左陣、九番隊隊長に東仙 要
そして十番隊隊長に と決められ、意義を唱える者はいなかった。
それから数十年、喜助はを探すべくあらゆる研究をし
“崩玉”を作り出した・・・
しかし、“崩玉”を持ってしてもの行方は解らなかった
そして浦原喜助と四楓院夜一は尸魂界を去ることとなる
「店長・・・そのような所で寝ておりますと、風邪を召されますぞ」
「おや、テッサイ。・・・・・・懐かしい夢を見てしまいましたよ・・・」
「夢・・・でございますか?」
「そう・・・アタシがまだ尸魂界にいた頃の・・・・・・」
月を見上げ、微かに笑みを零すその瞳は哀しみに揺れていた・・・・・・・・・
サン・・・・・・アナタが帰ってくるのを待っていますよ・・・ 。