軟らかい布団に包まれては目覚めた
覚醒しきっていない頭で辺りを見回す
「ん・・・あ、れ・・・?・・・・・・あぁそうか
私、隊長達に実験台にされて時空を渡ってきたんだっけ・・・」
もそもそとベッドから降りて夜着から単に着換え顔を洗う
髪を緩く結い上げ蝶を模った髪飾りで留め、くるりと鏡の前で全身をチェックする
「・・・よし、と・・・・・・あ、そうだ昨日霊子変換したチョーカーは・・・と」
和服にチョーカーはどうかと思うがシンプルな作りのそれは違和感なくに似合っていた
静かに部屋を出てリビングに向かうと
そこにはLが彼独特の座り方でソファに座りパソコンをいじっていた
「おはようございます・・・」
「おはようございます、。良く眠れましたか?」
「はい、Lはお仕事中?」
「ええ・・・もうすぐワタリが朝食を・・・・・・っ!!」
「??」
キーボードを叩いていた手を止めての方に振り向いたLは
驚いたように目を見開き黙ってしまう
その姿には首を傾げる
「・・・和服、なんですね・・・・・・そういえば昨夜もそうでした」
「え?ええ・・・和服しか持っていないもので・・・変、ですか?」
「いえ、その・・・和服の女性を見慣れておりませんもので・・・
よく、似合ってますよ。それに、その首にあるのは・・・」
「覚えてました?」
「勿論です、確信は持ててなかったのですが
に渡すことができていたんですね、私も持っていますよ?」
パソコンの横にコロンと置いてあった小瓶を手に取りに見せる
中には金平糖
「金平糖は時々ワタリが補充してくれますが
に貰ったものが一番美味しかったです、同じ物なのに何故でしょうね」
ころころと掌の上で瓶を転がしながら首を傾げる
その姿が幼く、可愛らしく見えては思わず微笑んでしまう
「一粒貰ってもいい?」
「はい、どうぞ」
ピンク色した星型のそれを貰い口に含むと、甘さが口に広がる
「普通の金平糖だね」
「ええ、やはり世界が違うからですかね?」
「ん〜いや一緒だよ、私がよく食べてたのは手作りだから・・・かな?」
「手作り、ですか・・・が作られるのですか?」
「いやいや・・・こっちにもあるかなぁ?
日本の京都にあるお店なんだけど、唯一の金平糖専門店で手作りなのよね」
の言葉を聞いて暫く考えていたLは大きな声でワタリを呼ぶ
「ワタリっワタリ!!」
「どうしました?L・・・朝食はもう少しお待ちください」
「違います!の言うお店をすぐ探してください!!」
「は?」
困惑気味のワタリには苦笑しながら説明した
それを笑顔で頷きながら聞き入れ「では早速・・・」と専用のパソコンを開く
はワタリの後ろに立ち画面を覗き込んでいる姿を見て
Lは半目になってガリッと爪を噛む
「二件ほどヒットしましたが・・・」
「あ、京都の方です・・・微妙に名前は違うけど
ほとんど同じですね、おすすめは苺味と季節限定のさくらんぼです」
「ほう・・・色々ありますなぁ」
「私にも見せてください・・・」
ジトリとワタリを睨みながらLはの隣に立ち同じように画面を覗きこんだ
そしての意見も含めてたくさんの金平糖を買い込む
「こんなに買い込んでどうするんですか・・・」
「私には糖分が必要なんです」
「甘党だとは思っていましたけど・・・半端じゃないですね」
「そうですか?普通ですよ普通」
そんな会話をしながら朝食を始める
和食ばかりの生活だったは珍しそうにクロワッサンを口にすると
さくっとした食感とふんわりとした食感が混じってとても美味しく感じられた
「・・・美味しい・・・・・・」
「それは良かったです、洋食は珍しいですか?」
「えぇ・・・純和風な圏内で生活していましたから・・・
あ、そうだL・・・私にお手伝いできることがありましたら言ってくださいね?」
「手伝いって・・・?」
「何もせずにお世話になるわけにはいきませんから・・・私、結構有能ですよ?」
「いえ・・・ちょっと待ってください、私と一緒にいてもらうだけで危険なんですよ?
それなのに更に危険な事はお願いできません」
の言い出した事に最初は驚いていたLだが
眉間に皺を寄せて首を横に振る
「L・・・さんにはお菓子を作っていただいたり紅茶を用意していただいたりと
身の回りのことをしていただいてはいかがですか?」
「それはいいかもしれませんね・・・」
「身の回りのことは勿論ですけど・・・私、特殊戦闘部隊に所属してましたから
ある程度の危険は大丈夫ですよ?」
「特殊・・・戦闘、部隊・・・が、ですか?」
「はい、あと特殊部門の『技術開発局』にも所属してましたので
データ収集や分析なんかも得意ですし・・・」
ぽんぽんとの口から飛び出してくる単語にLは目を瞠るばかりだ
見るからに華奢でか弱いという印象しかない
やはり年の功なのかワタリは冷静にの話を聞いていて
反応を示したのは『技術開発局』という言葉
「『技術開発局』というのはどのような・・・?」
「ええと、局長が趣味で創設したようなものなんですが・・・
実用的なものからそうでないものまで色々と・・・まぁ・・・
作っては研究して・・・改良して、みたいなことをしてましたね
『薬品部』なんかもありましたね・・・人体実験してそうでしたけど・・・」
最後の言葉はしっかりとLとワタリに聞こえていたが
があまりにも遠い目をしていたので二人とも聞こえない振りをしておいた
「さんはそこで何を?」
「私は、そうですね・・・戦闘部隊の隊長と局長が恋人同士だったということもあって
何時の間にか局員になっていたんですけど・・・主に局長の作った物と隊長が作った物の
実験とデータ収集・分析それから後始末・・・報告書の作成、始末書の作成
実験台になった犠牲者の救出・・・その他もろもろのメンテナンス・・・」
言葉の端々に苦労が伺える
というか犠牲者って何!?といったところであろうか・・・
も犠牲者の一人と言って過言ではないのだが
そのあたりは触れないでワタリは興味が沸いたのか更に疑問を投げた
「さんは何かを作られたりとかはしないのですか?」
「私、ですか?どちらかというと今あるものを改良したりする方が向いてるみたいです」
「なるほど・・・」
キラーンと瞳を輝かせるワタリを見て冷や汗が流れるL
確かにの話す事は興味深いが瞳をキラキラさせているワタリが怖い
戦闘部隊に所属していたという事も気になる
「なので『使えるものは親でも使う』精神でどんどん使ってください」
「私が、を危険に晒したくないんです」
「L・・・Lの気持ちは凄く嬉しい。でもね、私も同じでLを危険から遠ざけたい
私は闘える、守られるだけの存在でいたくないの」
諭すように語る、その表情にLは魅せられた
頭脳戦だと難しいかもしれませんけどね〜と苦笑しては話を終えた
Lにも考える時間が必要だと感じたから
「とりあえず今は・・・言葉、か・・・・・・
英語は隊長の影響でなんとかいけるけど
他の言葉も覚えるに越したことはないわよね」
そう呟き、ワタリに相談してみることにした
翌日、はたくさんの本に埋もれることになる
「ワタリさんのオニ〜〜〜〜〜っ」
の叫びが聞こえたLは笑いを噛み殺していた
そして、がこの世界に来て初めての事件に遭遇するまであと僅か・・・・・・