「お?ありゃ〜剣し・・・ん?
って・・・ずいぶんとちっこくなって・・・んなわけねぇか・・・」
左之助が浅草を歩いていると見慣れた赤い髪が視界に入り
そちらを見やると思った通り剣心がいた・・・
筈だった、良く見ると背は低く弥彦くらいである
その隣には可愛らしい少女が楽しげに歩いている
いいねぇ〜春だねぇ〜と左之助が思ったかどうかはさて置いて
気になるのは剣心にそっくりな少年
「剣心の隠し子・・・かねぇ、いや・・・あいつにそんな甲斐性があるとも思えねぇが・・・
あそこまでそっくりだとやっぱり隠し子・・・でもそんな素振りはこれっぽっちも見てねぇし・・・」
ぶつぶつと呟きながら向かった先は神谷道場
今日も今日とて主夫業をこなしている剣心に尊敬してしまう
そんな剣心は一仕事終えたのか縁側に座りお茶を啜ってていた
「よう、剣心」
「おぉ、左之でござるか・・・今日はどうしたのでござる?」
「いや・・・嬢ちゃん達は?」
「出稽古でござるよ」
「そいつぁよかった、剣心に聞きたいことがあるんでぇ」
「なんでござろう?」
言いながら左之助はどっかりと剣心の隣に腰を下ろす
薫達は出稽古に行っているから家には剣心と左之助しかいないと判っているのに
左之助は声を落としながら剣心にたずねた
「剣心・・・お前ぇさん、隠し子がいるな?」
「はぁっ?い、いきなり何を言いだすでござる!?」
「静かにしろぃ、見たんだよ・・・お前にそっくりな餓鬼をよ・・・
歳は・・・そうだな、弥彦くらいか・・・背の高さもそれくらいだな・・・」
「弥彦くらい・・・でござるか・・・」
「おうよ、で・・・どうなんでい?」
「し、知らぬでござるっ」
「身に覚えは?」
「ないとは言えないでござるが・・・しかしっ」
先日の美桜に続いて左之助のこの話・・・
剣心はすっかり混乱してしまった
左之助の言い方だと少年のように思える
見知っている美桜は何処をどう見ても剣心に似ているとはいえない
どういう事だ!?と剣心は頭を抱え始めた
「なんでぇ、本当に何も判らねえんだな」
「左之・・・」
「よしっ、ちょっくら見にいくか。まだあの辺りにいるだろ」
「は?」
「さっき浅草で見かけだんだよ」
否応なしに左之助は剣心を引きずり浅草へと向かった
向かったが左之助が剣心にそっくりな少年を見かけてから
結構な時間が経っている・・・即ち同じ場所にいるはずがないわけで
左之助はがっくりと肩を落とした
が、前向きな考えの左之助である
その辺を歩いてりゃ見つかんだろと、剣心を連れて浅草を練り歩いた
暫く左之助に付き合って歩いていると、鈴の音が剣心の耳を掠めた
「・・・?」
ふ・・・と視線をあげるとその先には美桜が誰かと一緒に歩いている
隣に誰がいるのか人込に紛れて良く見えない
じっと見入っていると、左之助がそれに気づいて良く見れば
そこには隣にいる剣心にそっくりな先ほどの少年がいた
「おっ、あれだよ剣心。ほら見えねえか?」
「?・・・・・・っっ!!」
左之助が指した方向は美桜が歩いていてその隣には
確かに・・・自分にそっくりな少年が美桜と手を繋いで歩いていた
まるで、自分とあの頃の恋人、が歩いているように見えた
暫し呆然と楽しげに歩く少年と少女を見つめていた
剣心の頭の中ではたくさんの剣心が集まって論議を繰り広げていた
『美桜殿は何処をどう見てもの娘だ』
『確かに・・・ならばその隣にいる自分にそっくりな子供は誰の子だ!?』
『拙者には以外身に覚えがないでござる!!』
『ならば兄弟ではないのか?』
『父親の違う兄妹とか・・・』
『そうか、それならば納得が・・・』
『いかぬ!美桜殿はあの斉藤と一緒にいたのだ!』
『そうだ!あの斉藤が拙者にそっくりな子を黙って見ているとは思えん!』
『しかし・・・』
『いや・・・だがっ』
答えは出ない・・・ますます混乱する剣心であった
そんな剣心を哀れに思ったのか左之助は溜息を一つついて
神谷道場へと連れ帰った
「・・・剣心よ・・・・・・」
「・・・なんでござるか?」
「実際のとこ、どうなんでぇ?」
「・・・わからぬ・・・・・・」
「は!?・・・おいおい、身に覚えがないことはないんだろう?」
「・・・それは、そうなのでござるが・・・」
「・・・まぁ、なんだ・・・お前くらいの歳になりゃ、餓鬼の一人や二人いたって
おかしくはなえんだが・・・判らないってえのは良くねぇな・・・」
「左之・・・」
「それに、餓鬼の前に相手の女はどうしたんでぇ」
縁側に座り頭を抱える剣心、その隣では左之助がお茶を啜っている
「それも・・・わからぬ」
「なんでぇ、フラれたのかい?」
「違うっ!・・・・・・と思いたいでござる・・・」
「・・・訳有りみたいだな、詳しいことは聞かねえが・・・
(嬢ちゃんがみたらやっかいなことになりそうだな・・・)」
「むぅ・・・何にせよ、・・・に会ってみぬことには・・・」
「そうか・・・ま、あんまり深く悩むなよ。ハゲるせ」
「・・・(誰のせいだと・・・)」
ジトリと今回の問題を持ち込んできた左之助を睨む剣心であった
参萬打HITありがとうございました!
今五萬打越えてますね・・・急ぎあと二本UPしますよ!