自分にそっくりな少年を目撃してから数日
剣心はを探し始めた
が見つからないなら斎藤でも・・・
と考えたが底意地の悪い悪人面が素直に教えてくれるとも思えず
、もしくはその子供達を捜すことにした


頻繁に街に出る剣心を見て薫が訝しんだが
左之助がなんとか取り繕っていた(剣心は気づいてない)



「今日も収穫はなし・・・でござるか・・・」

「あぁ・・・そう簡単に見つかるもんでもねぇしな・・・」

「そうでござるなぁ・・・」



剣心と左之助が夕飯の材料を買い帰路につこうとした時
鈴の音が剣心の耳を掠めた

その音を辿るように足をすすめると
その先にはガラの悪い数人の大人に囲まれている少年が目に入った
少年の後ろには少女が震えながら座りこんでいる



「餓鬼がでかいこと言ってんじゃねぇっ」

「そうそう、その懐にあるもん置いてさっさと行きなっ」

「黙れっ!」

「だ、駄目だよ・・・剣護・・・っ」

「美桜はそこで待ってろ」

「剣護っ!」



震える手で袴を握る妹の手を振り解いて
腰に差してあった木刀を握る



「いかん・・・っ、左之!」

「解ってらぁっ」



剣心と左之助は一気に駆け出すが
目の前の光景に唖然と立ち尽くす

それは弥彦と変わらないであろう少年が
大の男を次から次へと叩き伏せていったのだから
その太刀筋は流れるようで鋭くの剣裁きそのものだった


「餓鬼がっ、調子に乗るんじゃねぇぞ・・・」


残された一人の男が懐から短刀を持ち出した
それを見て剣心は動こうとするがまたも驚くことになった

剣護は光る刃を見ても怖じることはなく
スッと木刀を構えた



「!!・・・あれは・・・」

「あれは、斎藤の・・・牙突・・・!」


剣心と左之助は凄く複雑だった
自分(剣心)に瓜二つな少年が『牙突』の構えをしている
なんとも言えない心境に陥ってしまう

唖然と見ているうちに事は終わっていた


「大丈夫だな?行くぞ美桜」

「う、うん・・・」



座りこんでいる美桜に手を伸ばし立たせると
汚れているであろう着物の裾を叩いて手を引き歩き出す
が、再び男立ちに囲まれてしまう



「餓鬼のくせによくも俺の手下をっ!」



叫ぶなり剣護に躍りかかっていく
しかしその拳は剣護に届く前にあっけなく宙を舞った
剣術は達人並でも体力は子供のそれであると判断した剣心が
剣護の前に立ち塞がったのである
逆刃をふるい一瞬にしてこれまた男達は地に伏した



「な・・・っ」

「え・・・」

「大丈夫でござるか?二人とも」



にこりと笑いながら振り返る剣心を兄妹は凝視した

たった今、一瞬にして男達を叩きのめした男はこんなに小柄だったか?
剣護はそう思った。一瞬の出来事、それでもとても大きな人に見えた
そしてその顔、髪の色は自分にそっくりだった
ただ一つ違うのは左頬の十字傷




『剣護と美桜の父様はねぇ、ちゃんと判るように印がついているのよ』


そう言いながら母が左頬を指差していたのを覚えている

そんな印がなくてもこの姿かたちをみればこの男が自分の父だと判る
剣護はきっと剣心を睨んだ

そんな兄を美桜はおろおろとしながら見ていた





「帰るぞ、美桜っ!」

「え!?」

「おろ?」



美桜の手を握りなおし一歩踏み出したところで
もう一人の男が剣護の襟首を捕まえる



「助けてもらっといて礼もいえないのか?」

「はっ離せっ!」


まるで猫のように掴みあげられじたばたとするが一向に降ろしてはもらえない



「助けてくれなんて頼んでない!それに俺一人でもなんとかできたんだ!」

「っかぁ〜、可愛げのねぇ餓鬼だな」

「まぁまぁ、左之・・・降ろしてやるでござるよ」

「しかしだな・・・」

「あ、あのっ ありがとうございましたっ」


声のするほうを見れば
剣護に手を握られたまま不自然な体制でお辞儀をする美桜がいた



「美桜!礼を言う必要なんかないっ」

「何言ってるのよ剣護っ」


「「剣護?」」



剣心と左之助はこの名前を聞いて疑う必要もなくなった
間違いなく他人の空似でもない、自分(剣心)の子供であると


左之助は今だ暴れている剣護をまじまじと見ると
業を煮やした剣護は腰から木刀を抜くとそのまま左之助の顔めがけて振り下ろした



ゴスッ


「いっで〜〜〜〜〜〜っ」

「左之!?」

「剣護っ!!」

「フン、いつまでも離さないのが悪い」



漸く左之助の手から開放された剣護が襟を直しながら言った
その話し方はどこか斎藤を思い出させるものがあった
美桜はおろおろしながら左之助をみて泣きそうな顔をしながら謝る
剣心は美桜と剣護を見比べていた



「美桜殿・・・大丈夫でござるよ、左之は打たれ強いでござるから・・・
 それよりも・・・」


ふと視線を剣護に移せば再び睨まれる


「あ、剣護は私の双子の兄です・・・えと・・・」

「双子・・・」



涙目になって鼻をさすっている左之助と剣心は視線を交わした
全ての疑問は解けた、あとは母であるを探せばいい
そう考えていると三度剣護は美桜の手を引き踵を返した



「ま、待つでござる!は、はどこにっ」

「っ!母様の名前を気安く呼ぶな〜〜っ!!」

「お゙ろ゙っ」



剣護に向う脛をがっつりと蹴られた剣心はその場に蹲った
それをいい事に剣護は美桜の手を引いて剣心達の前から走り去った



「あ〜、剣心?」

「・・・なんでござろう?」

「なんつーか・・・嫌われてね?」

「ぐ・・・っ、そ、そうで・・・ござるな・・・」



はぁっと溜息をついてがっくりと肩を落とす剣心に
左之助は生温い視線を送るのだった



















その夜、双子は大好きな母と枕を並べていた
美桜がふと剣護を見れば、静かに布団が上下していて
眠っていることが伺える、そこで小さな声で話し始めた


「ねぇ、母様は父様が今でも好き?」

「美桜?どうしたの、急に・・・」

「ねぇ・・・好き?」

「そうね・・・好きよ、今までもこれからも・・・」

「会いたい?」

「ん〜、会いたくないと言えば嘘になる
 でも・・・父様には父様の生き方があるから・・・」

「・・・そうなんだ・・・・・・」

「美桜・・・?」

「なんでもないっ・・・おやすみなさい母様」

「おやすみ・・・」



剣護は硬く目を瞑った、うつらうつらとしていたら
美桜と母の話し声で目が覚めてしまったのだ

今頃現れた父を恨めしく思った
自分によく似た・・・いや、自分が似ているのだと思うと
その姿さえも恨めしく思う

小柄な男だった、それでもあの一瞬はとても大きく見えた
目で追うのがやっとだった、自分では適わない・・・そう思った
母も強い、でもきっとそれ以上だと直感した

悔しい・・・布団の中で剣護は拳を握った












  


四萬打ありがとうございました!!(遅っ
次回が最終回の予定です!!