【阿片】
「一大事ってなんでござるか?左之」
「まぁまぁ、いーからついてこいよ」
「緋村?・・・と左之」
「「」」
集英屋へ向かう剣心と左之助は花を手にしたを怪訝そうな顔で見る
「そんなに急いで何処か行くの?」
「おう、ちょっくら一大事があってな。も行くかい?」
「いや、折角なんだけど・・・」
「こそ何処へ行くのでござるか?」
「俺は、墓参りに・・・」
の言葉に剣心は眉を顰めると、は気まずそうに視線を逸らしながら
行き先を言う、そうしなければ剣心はを離さないだろう
「・・・沖田さんの・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
剣心の幾分か低い声が不愉快であることを告げている
左之助も怪訝そうに剣心を見ている
「だ、だって志半ばでしかも剣客が剣を握ることなく逝ったんだよ?
それを思うとさぁ・・・それに沖田さんは茶屋でよく話しかけてくれたし・・・」
しどろ、もどろとが話していると剣心は諦めたかのように
の頭を一撫でして困ったように笑う
「次は拙者も誘うのでござるよ?」
「・・・っ、うん!」
[サマ!]
「佐助!」
大きな羽音が聞こえたかと思えば、空から大きな鷹が舞い降りてくる
そして器用にの肩にとまる
「おかえり、随分遅かったね。操かな?」
[ハイ・・・操サンカラ早ク帰ッテクルヨウニト伝言デス]
「あはは、そっかぁ・・・でも、もう暫くはこっちにいるよ」
往来で佐助と話をするは独り言を言っている様に見え
かなり滑稽である。剣心はじろじろと見られているを軽く小突く
「こら、傍から見るとおかしな事だぞ?・・・」
「あ・・・つい、いつもの癖で・・・・・・佐助、今日は墓参りだ先に行っててくれ」
[ハイッ]
空に舞い上がる佐助を眼を細めて見送り、剣心に「帰りに道場をのぞくよ」と言って
は花を抱えなおし剣心に背を向けた
「よー、剣心、お前・・・今の自分がどんな顔してるか判るか?」
「え・・・」
「ほんっとにお前等デキてんじゃねーの?」
「左之っ」
「・・・・・・お久しぶりです、沖田さん・・・」
は墓に花を置き、その側に団子の包みを置く
京都にいる時は壬生寺によく行っていた
それはなりの自分への戒め、彼らの命を奪った事を忘れないように
剣心が不殺を誓ったように、は彼らの墓へ行く
沖田に関してはが斬ったわけではないが
先ほど剣心に言ったように剣客が剣を振るうことなく
床の上で死を迎えるなんてどれほどの心残りがあっただろう・・・
合わせていた手を離し、ふっと微笑む
「また、来ますね・・・」
沖田の墓を後にして、と佐助は人気のない場所で話しをした
佐助の話しによれば、操が蒼紫を捜しに行きたいと駄々を捏ねだしたということ
それから、京都を拠点に何者かが動き出しているということ
それは全国に広まりつつあるらしいと念至も懸念していると佐助は言う
「う〜ん・・・何者かが、ねぇ・・・・・・今の政府じゃぁ、頼りにならないか・・・
だけど、俺が動くべきことなのか・・・未だ維新は成し遂げられてないってところかなぁ」
[ドウシマス?]
「どりあえず、成り行きを見るしかないねぇ・・・俺は正義の味方でもないし・・・」
[ワカリマシタ]
「そんなことより、操の方が気になるなぁ・・・あんの無鉄砲娘め・・・」
[カナリ痺レヲ切ラシテイマシタカラ・・・]
「蒼紫が本当に好きだからねぇ・・・」
なんだかんだと話していれば日も傾き始めていた
はとりあえず神谷道場へ足を向けた
「出てけー!!みんな出てけー!!!」
「・・・・・・また一段と賑やかだな・・・」
は神谷道場から聞こえてくる薫の叫び声に溜息をついて
声のした方へ行けば、剣心に左之助、弥彦が叩きだされていた
そしてもう一人、見慣れない女がいる事に気が付いた
「緋村ー、今日も今日とて賑やかだね」
「・・・そうでござるなぁ、薫殿はいつも元気でござる」
「で、今日は何が原因なのさ」
「あー・・・」
言い辛そうに剣心は視線を泳がせると左之助が口を開く
「おめえがいけねぇんだよ、心にもねーこと言うからよぉ」
「あら、片時も離れたくないってのは本当よ
だってこの人、滅法強いくせして随分人が好いから、そばに居れば
観柳の私兵に襲われても必ず守ってくれそう、緋村 剣心・・・だっけ
あなた護衛にうってつけよ」
「それならそれでせめて事情を聞かせて欲しいでござるな」
「・・・まぁた厄介事か・・・・・・」
は呆れたように呟き剣心を睨む
左之助が剣心に同感して話を繋げる
「同感だな、ずっとダンマリ決め込みやがって、大体てめえの素性はなんでぇ
武田 観柳から何故逃げようとしてるのか、観柳は何故おめえを執拗に追うのか
そして阿片!こいつをどこで、どーやって手に入れたんでえ」
「女に過去を聞くなんて野暮」
キレる左之助を見ながら『阿片』という言葉にはピクリと反応する
そして『武田 観柳』の名前、ぐるりと思考を巡らすと
そういえば・・・と思い至った
「自分の事を語りたくないのなら、せめて観柳とやらの事を
詳しく聞かせて欲しいでござるよ、大方その男が阿片密売の元締めだとは
思うのでござるが・・・・・・」
「緋村の言う通り、かな・・・。武田 観柳・・・昔、五年くらい前か?
どこぞかの医者が作り出した新型阿片を売りさばいていたとか聞いたけど・・・
まだやってたのか?」
「!?」
「ど、どうしてそれを・・・」
「俺の情報網を甘く見ないでほしいな、緋村」
「・・・おめえ、知ってて放っておいてたのか?」
左之助が唸るように言いに詰め寄る
「あのねぇ、俺は正義の味方じゃないんだよ、それにその頃俺は東京に居なかったし
そういうのを取り締まるのは警察の仕事、政府の仕事だろ?」
「自分に関係ねーって言うのか!?」
「落ち着けよ、左之。じゃぁ聞くが、自分の友達が手を出して死んでいなかったら
左之はどうした?」
「そ、それは・・・」
「いたいた、左之さん!!」
[サマ!]
討論を遮ったのは左之助の友人と佐助だった
左之助に修と呼ばれた青年と佐助の話しは同じで
とにかく一緒に来てくれと達は案内されるままついて行った
案内された場所は川原で既に多くの人垣ができていた
その視線の先には水死体が二体
「・・・さっきの観柳の私兵じゃねぇか・・・」
「酷いでござるな・・・」
「知ってんの?」
「ああ・・・」
「役に立たない者は容赦なく切り捨てる
観柳のいつものやりかたよ・・・!」
死体を見つめていたに遠くから視線を投げかける男がいた
[サマ!アレハ・・・蒼紫サンデハ!?]
「・・・・・・っ」
眼鏡をかけた男の隣に背の高い青年と背の低い男が立っている
青年はもよく知っている蒼紫と背の低い方も知っている
(・・・蒼紫と・・・ベシ見か・・・?側にいるのは雇い主か・・・)
暫く蒼紫とが視線を合わせていたが、蒼紫はふいっと逸らし
剣心に視線を向ける、剣心もそれに気付き蒼紫と視線を会わせる
「?どうしてぇ」
剣心は無言で蒼紫をただ睨む
その蒼紫たちの方では会話が繰り広げられていた
「ベシ見・・・」
「はっはい!!」
「お前の鼻を潰した剣客、確か赤毛で左頬に十字傷があるといったな」
「はい、え、あ、あーっヤロウ!恵もいやがる!!
丁度いい、今度こそブッ殺して」
「人ごみでの騒動は困りますねえ」
「止せ」
「くっ・・・」
「ありがとうございます」
「どの道あの男、只者ではない・・・ベシ見、お前一人の手では到底負えそうにない
『人斬り 抜刀斎』・・・の捜し者は奴だったか・・・」
「様!?・・・あんな所に・・・」
ベシ見がの姿を捉え少し嬉しそうに笑う
蒼紫の眼もどこか緩んで見えるがすぐに表情を引き締める
「奴等がここ居るってことは、『般若』お前もきているよな」
「ハイ」
「奴らの居場所はつきとめられたか?」
「ハイ、あの男、すこぶる勘の鋭い奴で、尾行に骨を折りましたがなんとか・・・
途中で殿も加わりましたが・・・」
「よし・・・ベシ見の高荷 恵奪回の仕事、お前も手伝ってやれ
それと『ひょっとこ』にもそう伝えろ」
「了解」
「いいか、ベシ見・・・助っ人二人をつけてやる。これ以上の失敗は許さんぞ」
「・・・肝に銘じておきます、では・・・」
二つの気配が蒼紫の側から消える
そうしていたら恵が観柳に気付く
「観柳!!」
「本当だ、間違いねえ・・・剣心、、見ろ向かって左の奴が武田 観柳だ」
「それより右の方、あれは何者でござるか」
「さあ・・・私兵団の団長じゃねーか?」
剣心が眼にしていた蒼紫を左之助はそう言うが、恵が言葉を返す
「違うわ!あれは・・・御頭・・・!」
「「!?」」
「・・・・・・・・・」
「私兵団とは別の・・・最近、観柳が雇い始めた
元隠密『御庭番衆』を束ねる男・・・
明治維新寸前齢十五にして『江戸城御庭番衆』の御頭になった
天才隠密四乃森 蒼紫!」
「何でそんなのが観柳の配下に入ってるんでえ?」
「さあ・・・しかし、武田 観柳よりこっちの方がよほど難敵でござるよ
何にせよ相手は胡散臭い実業家に危険な御庭番衆・・・
ここで恵殿を放り出す訳にもいかぬでござるな!」
剣心の決心を聞きは顔を顰めた
にとってどちらも大切だから
しかし、どちらに味方するかと問われれば迷うことなく剣心をとるだろう
だが、彼等はに刃を向ける事は決してしない
今回の厄介事・・・自分はどうするかとは頭を抱えた
く、苦しいです・・・蒼紫が最初ヒロインと出会った時に
ヒロインさんの事を知っていた設定だったので・・・
抜刀斎のことを知らないわけがないと・・・(呆
原作では知らなかったんですよね・・・
そこまで考えてなかったんです(泣
スイマセン・・・