【一族】
「さて・・・これからどうするか・・・・・・」
「ん?なんでえ、お前ぇは一緒に来ないのか?」
「?どうしたでござるか?」
は眉根を寄せ、暫く考えると
剣心と左之助に向かって口をひらいた
「俺、ちょっと用ができたからさ後で道場に行けたら行くよ」
「ちょ・・・!?待つでござるっ」
剣心の声を聞かず、そのままは走り去る
が視界から消えても剣心は視線をずらすことはなかった
「ごめん、右近・・・急に呼び出して」
「構いませんよ、して・・・今日は?」
人気のない竹林の中で、は佐助を肩に右近という自分につけられた
『裏柳生』の一人の青年に会っていた
以前傷薬を届けてくれた左近の弟でもある
「高荷 恵という女性のことについて・・・」
「高荷・・・ですか」
「知ってるのか?」
「・・・その女性は会津の方ですか?」
「ん〜少し会津訛があったかもしれないなぁ・・・」
「会津藩の高荷といえばかなり高名な医者だったはずです
一度脱藩して戻り、会津戦争に巻き込まれたということぐらいしか・・・
殿の言う高荷 恵がその医者の血縁であるかどうかは・・・・・・調べますか?」
「頼む・・・・・・それから蒼紫を見つけた」
「今どちらに!?」
「ある実業家の用心棒のようなことをしている・・・」
の言葉に僅かに右近の顔が顰められる
「なんてことを・・・」
「ベシ見、それから般若の気配を感じた・・・ひょっとこと式尉も一緒にいるだろう・・・
蒼紫は優しい・・・奴等の事を考えてのことだと思うが・・・雇い主がなぁ」
「それは?」
「武田 観柳という・・・裏で阿片の密売をしているようだ」
「操様になんと言えば・・・っ」
「今はまだ言うな・・・・・・俺がなんとかする」
の強い言葉に頷き、右近は姿を消した
ずっと肩にとまっていた佐助が気遣うようにの頬に擦り寄れば
は大丈夫だと言うように佐助の翼を一撫でした
神谷道場・・・
は玄関から声をかけたが返事がなく
仕方なしに裏庭へと足を向けた
「出刃亀はよくねえな、嬢ちゃん」
「(出刃亀?)」
「だってだってだってだってだって、帰ってくるなり
二人っきりで部屋にこもってさあーっ!!」
薫の叫び声と左之助の声が聞こえてくる
どうやら剣心の事を話しているようだ。
「剣は滅法強えくせして、人には滅法弱いだろあいつ、女子供には特に」
「それは言えてる」
その会話には噴出してしまいそうになるが、何とか堪えていると
剣心が部屋から出てくる
「左之、異常はないでござるか?それとは・・・」
「おう、異常はねえが、のやつはまだ来てねえよ」
「観柳一派の組織図でござる、目を通しておくでござるよ
向こうに御庭番衆が居る以上、この場所は既に割れていると考えた方がいい
油断は出来ぬでござるよ」
「剣心・・・・・・お前、字ヘタだったんだなぁ」
「ほんと・・・」
「いーから人の話はちゃんと聞け!」
相変わらずの剣心には笑いを堪える
もともと剣心は剣術ばかりだったから字を書く事を得手とはしていなかった
「ん?剣心よ・・・御庭番衆の人数は判らねえのかい?」
「あぁ・・・恵殿の話しによれば十人には満たないそうでござるが・・・」
「御庭番衆の人数は蒼紫を入れて五人だよ」
「「「!?」」」
は剣心達の前に姿を現しながら冷静に言い放った
「何故それをが知っているのでござる?」
「あのねぇ緋村・・・俺の一族のこと忘れた?」
「・・・・・・あぁ・・・そうでござったな・・・」
の言葉に剣心は納得がいくが、左之助たちには判らない
訝しげな顔をに向ける
「どういうこった?」
「御庭番衆は俺の一族だ・・・だけど、情報提供はこれだけだ
今回は俺独りで動く・・・ごめん、緋村・・・・・・俺はあいつ等に剣を向ける事はできない」
「解っているでござるよ・・・しかし、独りで動くとは?」
「前に話した事があっただろ?俺の妹分が探している奴がいるって
それが蒼紫なんだ・・・だが、ちょっと状況が悪いからなぁ
話をしてなんとかなる相手ではあると思うんだけど・・・」
「・・・お前ぇ、維新志士じゃあなかったのかい?」
「そうだよ、人の思想なんて千差万別。俺は一族からははみだしていたから・・・
それに俺が一族に戻ったのも明治に入ってからだし・・・」
左之助は眉を顰めを見る
言いたい事が手に取るように判る剣心とは互いに苦笑を漏らす
「胡散臭ぇ・・・」といったところだろう
もともとは左之助や薫に自分のことを話さない
聞かれれば答えるだけだった
「・・・あいつ等がやっていることを知っていても闘えねえってことか?」
「・・・・・・無抵抗の相手を斬ることはできないよ」
「なんだと?」
「一族の者は俺に刃を向ける事はしない
俺が斬りかかれば抵抗する事なく斬られるだろう」
「お前ぇ・・・何者だ?」
「 ・・・だと俺は思っているんだけどねぇ
一族から見れば・・・途絶えた本家の末裔だ、そして表の人間でもある」
「表・・・だと?」
「そう、俺達剣術を扱う者は幕府にとって表方の人間
御庭番衆は剣術だけでなく忍を取り入れ幕府の影働きをする・・・裏の人間だ」
「お前ぇ・・・士族か?」
「左之・・・そのくらいにするでござるよ、はでござる」
数日前に言われた言葉を剣心はに向かって言った
人斬りは人斬りであるように自分は自分だと言ってくれた
その言葉にどれほど癒されたか
は剣心の嬉しそうに微笑むと剣心もまた、に微笑む
「それから薫殿、訳あって詳細は話せぬでござるが
この先、ここで騒動の一つ二つ起きてしまうやも知れぬ。
ここは拙者が守る、だからしばらく目をつぶってて欲しいでござるよ」
「・・・わかったわよ、けど、事が済んだらちゃんと説明してよね」
それから縁の下から平べったくなった弥彦が出てきて
『剣心組』とやらがいつの間にか出来、その場は一気に和んだ
それを部屋の置くから見つめる一つの視線には気づいた
高荷 恵・・・、彼女の瞳は憂いを帯び儚く見える
そして日は落ち、あたりは月明かりに照らされる
「来たか・・・・・・」
ズドォッ
「「「「!?」」」」
「来た・・・!」
「門の方だ!!」
の呟きは轟音に掻き消される
走り去る剣心達を見ながら、は目を細めゆっくりと後を追った
門壁を壊し、そこに現れたのは剣心の倍はある身丈に
横幅は剣心が四人くらい入りそうな程の巨体の男だった
「大人しく恵を渡しな、そうすりゃちったあ手加減してやるぜ」
「・・・・・・御庭番衆でござるな」
「おう、御庭番衆が一人『ひょっとこ』様たぁ俺のことよ!」
「ひょっとこ?可愛い過ぎて似合いもしねぇ、改名しろよ」
「グフ」
「・・・・・・」
剣心と左之助がひょっとこと対峙している中、は音もなくひょっとこに近づいた
「ひょっとこ・・・」
「!!・・・様っ」
「ここは退いてくれと言っても無駄か?」
「すまねえ、様。俺達は様を傷つける事はできねえ・・・
様の言葉を聴く事はできても、御頭の命令は絶対なんだ」
「解ってる・・・それが御庭番衆だ
だが・・・俺は一族と緋村、どちらかを選べと言われれば緋村を選ぶ」
「それでいいです・・・それが様ですから・・・・・・
でも、ここは様が退いてくれねえか?俺が御頭から言われたのは
高荷 恵の奪回、こいつらを殺す事じゃねえ」
ひょっとこの言葉を聞いては視線を剣心に移すと
剣心はに頷いて見せた、剣心は既に不殺を誓っている
どちらの力量も知っているは剣心に任せて大丈夫だろうと判断してその場に背を向けた
左之助はの言葉を聞いて驚きを隠せずにいた
の一族がどれくらいの大きさなのかは知らないが
その数多くの人より剣心を選ぶとは言った
そしてその一族の一員でもあるひょっとこがその言葉に頷いた
それがであると・・・
左之助の内側での謎が深まるが、それとは別に嬉しくもあった
剣心がを大切にしているのは目に見えて判っていた
しかし、は・・・?そう疑問に思っていたからだ
だがは自分の一族より剣心を選ぶと言った、それが嬉しかった
「さあて、まずはどっちが相手だ?まとめてでもいっこうに構わねえぜ」
「こいつぁ徒手空拳の剛力自慢だ、剣心・・・ここは俺にまかせな」
「しかし、相手は御庭番衆、果たしてそれだけの男かどうか・・・」
「なんでも構わねぇ!生け捕って阿片の真相を聞き出してやらあ!」
左之助が地を蹴り、拳を振るえばひょっとこは火を噴出す
は何も言わずその闘いを見つめていた
「左之助!!どうして・・・どうしてっは何も思わないのか!?」
「弥彦・・・やめるでござる、は一度止めたでござるよ
それに、今一番辛いのはでござる。解らぬか?」
「剣心・・・でも、でもよぉっ」
「弥彦も黙って見ているでござる」
そう言い、剣心はひょっとこと対峙した
そして再び火を噴出すひょっとこ、そんな闘いの中、微かに気配が動いた
そこへ向かえば恵が去ろうとしていた
「何処へ、行くんだ?」
「!!」
「緋村はあんたの為に闘ってる、あんたはそれを見届けなくてはいけない」
「・・・闘っても剣客の勝てる相手じゃないわ、相手は御庭番衆の中位隠密
下位隠密のベシ見とは訳が違うわ、あなたも一族の一人なら解っているでしょう?」
「解っているよ、緋村が勝てない相手なら俺はひょっとこを斬っていたさ
緋村とひょっとこの力量を知っているから止めなかった
どちらも殺す気はないみたいだしね・・・ま、緋村が中位隠密程度に負けるとは思えない」
ほら、と視線で恵を促せばひょっとこは油を切らしあたりの炎は収束していた
「そんな・・・刀の旋回で火炎を遮るなんて・・・」
「おのれ!まだまだぁっ!!」
背に担いでいた樽を外し、油を補充しだすひょっとこに
剣心は反応するが、左之助に遮られる
「左之・・・」
「助太刀、ありがとうよ。だけど、こいつの相手はこの俺だぜ
悪いがここは仕切り直させてもらうぜ!!」
あぁ・・・妙なところで切ってしまいました・・・(泣
そして手首が痛い( ´Д⊂ヽ
腱鞘炎なんて腱鞘炎なんてーっっ
もう10年近く付き合ってますけどね今回は重いようです(笑
キーパンチャーなんてバイトしなけりゃよかった・・・(´・ω・`)
サロンパスの香りが・・・(爆