【哀悼】



「命乞いなら貴様の好きなお金様に頼んでみろ!!」


は声も出なかった
血塗れ倒れている最後の御庭番衆達
怒りを露に観柳を叩き伏している剣心
何が起こったのだと

蒼紫もただ愕然と変わりたてた配下を見て立ち尽くしていた



「・・・今は一人にしておくでござるよ」

「・・・そうだな」

・・・大丈夫でござるか?」

「・・・あぁ・・・・・・、般若がやったんだな・・・」

「・・・すまない・・・拙者には・・・」

「いいんだ、それがあいつの意思だったんだから」

「行こう、恵殿が待っている・・・」



剣心は促すがは首を横に振った



「・・・俺も、一人にしてくれないか・・・」

「・・・解った、だが・・・」

「あぁ、裏庭に居る・・・勝手に帰ったりはしないよ」

「そうか・・・」



剣心は安心したように微笑み、左之助と弥彦を連れて階段を上がっていった






は何も言わず蒼紫に背を向けその部屋を出た
ただ思い浮かぶのは剣心を探して各地を旅していた頃
拠点としていた『葵屋』での彼らとの生活だった
蒼紫の後をついて歩いていた操
そしてその操を焦ったように追いかける般若
力仕事を全てやってのけていた式尉
ひょっとことベシ見の口喧嘩


「・・・・・・何も・・・できなかった・・・」

「お前が気にする事ではない」

「蒼紫・・・?」


気が付けば目の前に般若達の首を手にした蒼紫が立っていた
その瞳には闇しか映っていなかった

「こいつ等は俺のために死んだ
 俺のせいで死んだ、お前が自分を責める事を望んではいない」



そう言い残すと闇の中に消えていった
蒼紫の消えた先を見つめながらはぽそりと呟いた



「それは俺より自分に言うべき事だろう?
 あいつ等は蒼紫が、自分を責める事こそ望んじゃいない・・・」



その呟きは誰に聞こえることなく闇に消えた


そうしていると表が騒がしくなり警官隊が入ってきた事を知らせた
が、は面倒だな・・・とその場を動くことはなく剣心を待っていた

そういえば剣心は酷い怪我をしていたな・・・と思い出し
周りに誰もいないことをいいことに巻いていた晒しを解き着物を整えたところで
剣心達が姿を見せた



・・・ここに居たでござるか」

「緋村・・・」


を心配そうに見つめる剣心の前に立ち
おもむろに剣心の着物をかっぴろげる
驚くのは剣心だけではない左之助も弥彦、恵もあんぐりと口を開けて見ている


!?ななななな何をするでござる!?(積極的なのは嬉しいが時と場所を・・・)」

「おいおい?」

「・・・ずいぶんと酷くやられたな?」



晒しを裂き血を拭ってから余った晒しをすこしきつめに巻いていく


「そうでござるなぁ・・・で、この晒しは?」

「あぁ・・・俺のだ、さっき解いたんだ」

のでござるか?(・・・ってことは・・・)」

「心配するな、今朝おろしたばかりだ」



そうじゃないとがっくりと肩を落とす
確かに夜だし暗い、誰も見ていないとわかる
わかるが・・・剣心としてはなんともやりきれない気持ちになった
それよりもの表情が何かを我慢しているようで気になる
ここに居る人数分の朝飯を用意して待っていてくれと左之助が薫に言っていたが
神谷道場に帰る気になれない・・・このままを連れて姐さんの邸へ帰ろうと決めた
そうしている間に晒しを巻き終えよしと頷いているが目に入った



「すまぬが左之・・・を連れて姐さんの邸に行くでござるよ」

「お、何でぇ・・・嬢ちゃんが朝飯用意して待っててくれるってぇのに」

「すまぬ・・・」


剣心がそっと目配せをすれば左之助は心得たと頷いた
は元気に朝飯といった気分ではないのだろう
それもそうだと数刻前の光景を思い出した
剣心を選ぶといっても一族の者が目の前で死んでいったのだから・・・
何事もなかったかのように振舞ってはいるが
きっと自分達がいるからだろうと左之助は思った
たぶん剣心の前でだけ感情を露にするんだろう
だから剣心はやけに過保護で構い続けているのだと考え付いた

妬けるねぇ・・・

左之助は剣心に対してではなくに対してでもなく二人の関係にそう思った












朝霧の中ゆっくりと歩を進める五人の人影
は少し前にもこんな風景があったなぁ・・・なんて思ってみたりしていた
その時は三人だったけれど・・・


「・・・じゃあ、後は頼んだでござるよ」

「わかった、まかせとけ」



左之助がひらひらと手を振り、剣心はの手を引いて幾松の邸へと向かった
から帰りが遅くなると事情を聞いている幾松は今回は玄関で待っていなかった
部屋に着いても暫くは互いに無言だった



「・・・よかったの?」

「何がだ?」

「朝ご飯・・・」

「朝飯よりお前の方が心配だ・・・もう我慢しなくていい・・・・・・」

「け・・・ん、しん・・・剣心、剣心・・・っ」

・・・」



堰を切ったかのように溢れだす涙
剣心はを抱き締めその胸での涙を受け止めた


「わた・・・私、何も・・・できな、かった・・・守れな、かった・・・」

・・・・・・あいつ等は・・・」

「解ってる・・・蒼紫の事も、私の事も怨んでない・・・
 自分の意思で・・・・・・でも、それでも・・・っ
 守りたかった、んだ・・・あいつ等を・・・っ、操の笑顔を・・・っ」



その後、剣心は言葉を発することなく
ただの零れ続ける涙を指で唇で拭い続けた
が泣き疲れて眠る時まで・・・





「・・・帰ってたんだね」

「姐さん・・・」

「まったく・・・またボロボロになってまぁ
 今回は傷を作って帰ってこないなんて言ってたけど・・・
 心に傷作って帰ってきたねぇ・・・何やってんだい緋村君」

「返す言葉もないでござる・・・」

「あたしだってね緋村君が君を何もかもから守れるなんて思っちゃいないよ
 それに今だって緋村君がいなきゃ君の心は壊れていたかもしれないし・・・
 だからね緋村君、あんたはもっと自分を大切にしなさい」



はっと幾松を剣心は見上げるとそこには優しい微笑があった


「さぁ、いつまでも君を抱いてないで布団に寝かして
 緋村君は湯に浸かっておいで、あぁ・・・怪我してるんだったら
 身体を拭くだけでもいいから、新しい着物も用意しとくよ」

「かたじけないでござる・・・」

「それにしても緋村君・・・そのけったいな言葉遣い何とかならないのかい?」

「ね、姐さんっ」















数日後、は花を持って剣心と河原に来ていた



「柳生一族の墓は一つ・・・本当は里に行きたいけど今は・・・どうか・・・」

「「安らかに・・・」」


二人は花を河に託した・・・志高く主を守るために散っていった彼等に届くように・・・









  


蒼紫編?終了です(笑
次は京都編まで飛ばすか雷十太編を入れるか・・・と思案中です(汗
前回が剣心とあまり絡まなかったので今回は絡んでくださいとお願いして見ました(笑
あんまり絡んでない・・・ような気もしますが・・・(滝汗

何気に幾松姐さんが人気なのが嬉しいです゚・*:.。. .。.:*・゜