【途中経過】
翌日、剣心の元に塚山氏(雷十太)から『招待状』が届いた頃
は左近と会っていた
「ここ数年、全国で道場破りが多くあったようだけど・・・
そんな事をやっている馬鹿が今東京にいるみたいだ」
「・・・あぁ、あれですね。何でも今ある五百余流派を根絶して
自分の掲げてる流派を唯一の正統日本剣術として再興するとか
資質ある者だけの少数精鋭で西洋銃火器にも負けないとかなんとか・・・」
「・・・馬鹿だな」
が呆れたように息を吐くと、左近も苦笑を零す
「あのですね・・・殿、京都で一騒動ありまして・・・」
「一騒動?葵屋でか?」
「はい、操様が蒼紫様達を探しに飛び出してしまって・・・」
「あんの無鉄砲娘め・・・で、行き先は?」
「それが・・・」
「・・・まったく・・・佐助っ」
空に向かってが指笛を鳴らすと大きな熊鷹が舞い降りる
[サマ?]
「悪いんだけど操を探して居場所を知らせてくれないか?」
[知ラセルダケデイイノデスカ?]
「帰れと言っても聞かないだろう」
[ワカリマシタ]
佐助は一声鳴くと、空高く舞い上がった
「よろしいのですか?」
「ん?翁もなんだかんだと心配しているだろう?」
「それはそうですが・・・」
「無理やり連れ戻す気はないよ、操も気が済んだら帰るだろう」
「はい・・・」
左近を頷いたのを見ても頷く
そして何か気づいたのか、はと左近に向き直る
「そういえば・・・佐助から京都で不穏な動きがあるとか聞いたんだけど」
「そのことですか・・・派手な動きはないようなのですが、嵐の前の・・・って感じですかね」
「ふ・・・ぅん、政府は動いているの?」
「そのようですが、どうでしょうねぇ・・・あてにはできないかもしれません」
「うーん、ま・・火の粉がかからないかぎり静観としますか」
「はぁ・・・」
街外れの河原で二人難しい顔をしているが、剣心が見れば嫉妬する事だろう
その頃の剣心は雷十太と刃を合わせていた
その日の夜剣心はの元へ訪れていた
「・・・今日は何をしていたんだ?」
「ん?今日は・・・京からの報告っていうか・・・近況っていうかそんなのを聞いてた」
「京?」
「そう、ずっと世話になってる料亭で裏柳生の関係の・・・」
「・・・そうか」
「剣心は?」
「俺か?俺は昨日の石動 雷十太から招待されてな・・・」
ぽつりぽつりとこの日あった事を語る
「・・・と言うわけだ」
「へぇ・・・(やっぱり馬鹿だ)・・・・・・剣心?」
「うん?」
「・・・この手は何?」
「なんだろうな・・・」
後ろから抱き締める形で座り話していたが剣心の手がの襟を割り胸へと伸びる
あいている手での顎を捕らえるとゆっくりと唇を重ねた
朝、剣心がを連れて神谷道場に戻ると門前に由太郎が立っていた
「勝負だっ!」と言い張る由太郎に剣心とは視線を合わせると苦笑した
それから剣術を習った事のない由太郎の為にと薫が手解きをして
由太郎は素振りを始める、それを横目に剣心とは朝食もまだだろうと
おにぎりを作りに厨へと向かった
おにぎりを配り終え、は剣心と共に由太郎の隣に腰を降ろす
「どうだ、竹刀剣術は面白いでござるか?」
「・・・所詮遊びだからな、遊びは面白いに決まってるさ
けど、これ以上はやらねーぜ。遊びじゃ強くなれねーからな」
「おろ?」
「俺は先生の様な無敵の剣客になって親父を見返してやるんだ」
「親父を見返す・・・でござるか」
「ああ・・・士族の誇りを捨てて商人になっていつも愛想笑で
ペコペコ頭を下げてばかりか、武士の魂たる刀を外国に売ってまで
商いに精を出しているくそ親父に剣一本で生きる真の士族の生き様を叩きつけてやる」
「士族の生き様、ねぇ・・・」
「・・・」
「はいはい(時代の流れには逆らえない・・・ってのは子供にはまだ解らないか)」
嗜めるように視線をやって剣心は苦笑した
薫が由太郎を勧誘して弥彦と言い争っている時には複数の気配に気づいた
剣心に視線をやり腰に差してある村正の柄に手を置く
「緋村・・・」
「あぁ・・・みんな壁に跳べ!!」
「キェェェェッ!!」
叫び声と共に槍で道場の戸が破られる
迫り来る木戸を逆刃で斬り避けるとそろいの編笠を被った男達が飛び込んでくる
その男達が剣心を囲むより速くは剣心の背に背を合わせるように立つ
六人の男が編笠をはずしながら剣心とを囲む
「失敬、我々は・・・」
「揃いの編笠でわかるよ、雷十太の言う真古流の同士でござろう」
「それなら話は早い、単刀直入にうかがいましょう
我々の同士になるか否か、状況をよく考えてお答えください」
「説得か脅迫か知らぬが、拙者は自分の意思を変える気はござらんよ」
「「ならば死、あるのみ!!」」
剣心が答え、それを聞いた男二人が剣心に斬りかかる
それを避けるように剣心が跳び上がると同時には腰を低くして横に跳ぶ
素早く峰を返し殺気を放っていた男二人を打ち据える
「どうやら脅迫の方でござるか」
「その首もらった!!」
一番大きな男が槍を剣心に向かって突き出すと
それを峰で受け止め鎬を滑らせてそのまま男の顔に打ち込む
剣心との行動はほぼ同時だった
「ほう・・・さすがは先生が見込んだ方です。しかし残り五人、その調子で倒せますかな」
「二人でござろう」
言うと同時に立っていたはずの三人が倒れる
「「!!」」
「・・・・・・こちらの方は先生から聞いておりませんでしたが・・・私が参りましょう」
今まで話していた男の纏う空気が変わると剣心は逆刃を握りなおしに視線を向けた
「はいはい(もう手を出すなってか)」
ガキィッ
一瞬の鍔迫り合いの後、男は素早く斬撃を繰り出す
「ぬううぅっ!!」
「うおおおぉぉっ!!」
ほんの一瞬、たった一撃で勝敗は決まった
「成・・・程、あなたは強過ぎる
同士にできないなら、消せという先生のお考え、納得いきまし・・・」
言い終わることなく男は倒れる
残された一人の男は悲鳴をあげて立ち去ろうとするが
左之助の手に阻まれる
「!?」
「同士を打ち捨てて一人逃げようたぁ、あんまり感心できねーな」
逃げる男の顔を鷲掴みそのまま締め上げている
「放してやるでござるよ左之、戦意を失くした者を討つ気はござらん
帰って雷十太に伝えろ、小細工や同士を使わず来るなら一人で攻めて来い
不本意の闘争をこれ以上拙者にさせるな、とな・・・」
左之助に顔を握られたままなんとか男が頷くと左之助は手を離し
男はそのまま逃げ帰った
「ったく、おめーは俺の居合わせない時に限って楽しい喧嘩しやがって」
「だから拙者は楽しくないって」
そう話している剣心と左之助、は倒れている男達をどうしようかと悩みつつ
愛刀の鞘で男達をつついている
それを床に座ったまま見ているのは由太郎
「・・・(この男、本当に強かったんだ・・・!!それにあの背の低い男も・・・っ)」