レゴラスはの部屋を出た後ゴラムの様子を見に行っていた
永く土牢に入れておくのも可哀相だとしばしば森に連れ出していたからだ
ゴラムが木の上にいてその下で見張りをしているエルフ達に声をかけ館へと戻った
04 banquet -宴-
館へ戻るとなにやら慌しく侍女達が動いている
はて?と首を傾げながら父のいる執務室へと足を向けた
「失礼します、父上」
「レゴラスか、今日は宴を開くぞ」
「は?」
「エフィルに聞いたがあの娘、目が覚めたそうじゃないか
しかもお前がエルフ語を教えていたと言っていたぞ」
「いや、確かにそうですけど・・・・・・父上・・・ただ単に宴がしたかっただけでは?」
「断じて違うぞっ、お前が拾ってきた娘が元気になったのだ。快気祝いをしないでどうする!」
びしぃっと指をさして豪語する父親に、ガックリと項垂れて溜息をもらす
もう何も言うまい・・・そう思い、ゴラムの報告をしてから執務室を出た
の傷はどうやら治っているようだから宴に出るのには問題はない・・・
しかし、どうもレゴラスは乗り気がしない
もともと闇の森のエルフは宴好きだから王であるスランドゥイルが催すとなると
ワンサカ客がやってくるだろう・・・となると、必然的に異種族であるは好奇の的になる
「は見世物ではないのに・・・!」
それだけではなく、ただ何故かを他の男のエルフ達に見せたくないとも思った
イライラする気持ちを少しは宥めようと浴室に向かう
「レゴラス様、あの・・・今・・湯殿は・・・」
入り口で侍女に言われたが、レゴラスの頭の中はのことでいっぱいで聞いていなかった
着ていた服を脱ごうとした時、誰かがいることに(やっと)気付いた
「あら、ほんとに傷が消えてる・・・それにしてもの肌って綺麗よねぇ」
「エフィルっ恥ずかしいから一人にしてよぅ」
「なぜ?」
「なぜ?って・・・お風呂入ってるのを見られるのって落ち着けない」
「そう?・・・・・・でも、って着痩せするのね〜」
「どこ見て言ってんのよっ」
「胸だけど?」
「さらっと言わないで・・・ってか触らないで〜っ」
「なっ?」
聞いてはいけない女の会話を聞いてしまい
顔を真っ赤にして固まってしまう
ここにいてはイケないと思うのだが身体が動かない
そうしているとエフィルが出てきた
「あら・・・」
「エフィル、どうしたの?」
「ううん、なんでもないわ・・・はゆっくりしていて」
「はぁい」
「レゴラス様・・・」
「や、やぁ・・・エフィル」
呆れたように、に聞こえないよう声を落として話をする
レゴラスは何もなかったように振舞おうとするが、赤い顔がそれを許さない
「まったく・・・王子ともあろうお方が・・・」
「い・・いや違うんだ、知らなかったっていうか・・・気付かなかったっていうか・・・」
「入り口で聞きませんでした?」
「そういえば・・・誰かいたような・・・」
しどろもどろに返答をするレゴラスに更に呆れたように溜息をついてニコリと笑う
「いいですわ、レゴラス様のそのようなお顔が見れるなんて思っていませんでしたし
にはこのことは秘密にしておいて差し上げます」
「エ、エフィル・・・すまない・・・」
「まったく仕様のない王子様ですこと・・・
でも・・・今日の宴にくる殿方達の大半はの姿を一目見ようと思っていた方達ですよ」
「え?」
続きは外で・・・と目配せをしてレゴラスを外に連れ出し話を繋げる
「どうもの手当てをした者達が話をしてしまったようで・・・
レゴラス様がエルフのように美しい人の子を連れてきた・・・って」
「なんだって?!」
「おしゃべり好きのエルフには困ったものですね」
ふふふ・・・と笑うエフィルに困ったとかいう問題じゃないぞ?!とレゴラスは思う
それに笑っている場合ではない
さて、どうするかと思考を巡らせ始めたレゴラスにエフィルは囁いた
「私がの傍にいるのにも限界があります・・・
不本意ですけどレゴラス様、の傍にいてあげてくださいません?」
「何か・・・聞き捨てならない言葉を聴いたような気がするが・・・
勿論そうするよ、僕のだからね」
二人とも爽やかに微笑み合っているように見えるのだが
近くで見ていた者は二人の間に火花が散るのが見えたとか・・・
風呂に入り埃を落としてサッパリしたは気分よく部屋にいた
自分の隣でドレスを選んでいるエフィルに軽く苦笑を漏らしながら
エフィルの持っているドレスを見てみると今までに着たことのないような
というか着たことのないヒラヒラしたものばかりであった
「ねぇ・・エフィル・・・ほんとにソレ着なきゃいけない?」
「当然です、に着てもらう為に持ってきたんだから」
「でも、私・・・そういうの着たことないし・・・」
「大丈夫!きっと似合うから!」
「そんな力いっぱい言わなくても・・・そういえば、私がここに来た時に着ていた・・・」
「あぁ、の服なら破れていたし少し汚れていたようだったから
今洗い終わって繕っているとことよ」
「ありがとう・・・エフィル・・・って、え?なに??」
いそいそとの服を脱がせ始め、抵抗を流し素早くドレスを着せていく
生成りの布地に白い小花が刺繍してあるマーメイドラインのドレス
腰に皮ひもを何重にもまいて胸の下まで編み上げる
胸元と背中はXラインになっていて和服がメインだったにはかなり恥ずかしいものがある
「エフィル〜、やっぱり恥ずかしいよぅ」
「やっぱり思っていた通り似合ってるわよ」
「ね〜話聞いてよ〜」
「往生際が悪いわよ、後は・・・髪型ねっ」
今だ渋っているを椅子に座らせ、櫛をとる
どんな髪型にしょうかとの髪を梳いているとレゴラスが入ってきた
「レゴラス〜、エフィルになんとか言ってよ〜」
「あ、っ動いちゃだめっ・・・・・・レゴラス様・・・?」
「レゴラス・・・?」
を見つめたまま固まっているレゴラスに原因が自分であるとも気付かずに
ヒラヒラとレゴラスの顔の前で手を振ってみる
エフィルはと言えば確信犯のようにニコリと笑ってレゴラスを見ている
「え・・あ・あぁ・・・よく・・似合ってるよ、」
「ほら、レゴラス様もそう言っている事だし、観念しなさい」
「う〜〜っ」
再び椅子に座らされる、エフィルがもう一度髪を梳かそうとすると
レゴラスがエフィルの持っていた櫛を手に取る
「レゴラス様?」
「の髪は僕が結うよ、エフィルも自分の準備をしておいで」
「あら、の髪を結ってからでも私の準備はそんなに時間はかかりませんわ」
「そうなのかい?でも、若い女性は着飾るのに時間を掛けるものだろう?」
「・・・そうですわね、レゴラス様がそれほどまでの髪を結いたいと
おっしゃるのならお譲りしますわ」
頭の上で繰り広げられる会話には振り向きたくとも
本能が振り向いてはいけないと言っているようでただ、嵐が過ぎるのを待っていた
結果・・・レゴラスの勝利
エフィルを見送って、の髪を手に取る
漆黒の髪は緑の艶を帯びてサラサラと流れる
「綺麗な髪だね・・・」
「そう?・・・ありがと・・・」
顔を赤らめるに微笑み、手に取った髪に口付ける
「レゴラス・・・っ」
「くす・・・っ、さて・・どうしようかな・・・普段はどんな髪型をしていたの?」
「普段はこう・・・後ろで一つに縛って・・・」
とは後ろ手に髪をかき上げて見せる俗に言うポニーテイルだ
その時ちらりと見えた項にレゴラスの心臓が跳ね上がる
「そう・・・でも、今日は降ろしていた方がいいかな・・・」
そう言われはおとなしく椅子に座りなおす
跳ね上がる心臓を諌めながらレゴラスは丁寧に髪を編み込んでいき
側に用意されていた髪飾りで最後に仕上げをして満足そうに微笑む
「さぁ、できたよ・・・」
手鏡を持ってきてに見せると
嬉しそうにそしてどこか恥ずかしそうに自分をみている
どんなに恥ずかしくてもそこは女心、着飾れること自体は嬉しいのだ
そんなを眩しそうに目を細めて見ているレゴラス
「そういえば、今日の宴を開かれるこの森を治めている方って・・・?」
「あぁ、ここの森は闇の森というんだ。で、闇の森を治めている王スランドゥイル・・僕の父だよ」
「えぇ?!・・じゃぁ・・・レゴラスって・・・もしかしなくても王子様・・・?」
「ん〜そういう事になるのかな?あぁ、でも気にしないで今迄通りに接してほしいなぁ」
「・・・いいの?」
「うん、その方が僕は嬉しい」
「じゃぁ・・・お言葉に甘えて・・・」
がふわりと微笑むとレゴラスもつられて笑みを零す
と、いきなり扉が開きエフィルが飛び込んできた
「まだこちらにいらしたんですか?そろそろ時間ですよ」
やれやれと肩を竦めレゴラスはの手を取りもう片方の手を腰に回した
「?!・・・レゴラス?」
「ん?君をエスコートするのは僕の役目だよ」
「そ・・そうデスカ・・・」
宴に開かれる広間ではかなりのエルフ達が集まっていた
スランドゥイルは上機嫌に上座の席に座っている
その中で一際目を引く一対の青年と娘が入ってくる
若葉色の服を纏い肩の下で切りそろえられた金髪を靡かせているのは
闇の森の王子、緑葉の君レゴラス
そのレゴラスにエスコートされている生成りのドレスに映える漆黒の髪を揺らし
少し恥じらいながら歩を進めている
時々ちらりとがレゴラスを見ると、蕩けんばかりの笑顔を向けている
そんな息子の姿を微笑ましくスランドゥイルは見ていた
「やれやれ・・・我が息子にもようやく春が来たのかもしれんなぁ・・・」
そんな事を呟いていると、その注目されている二人がやってくる
近くで見れば見るほど美しいの姿に自分の息子は面食いだったのだと思う
「父上・・・父上!」
「お?おぉ・・レゴラスか、で・・・その娘がだな?」
「なにぼーっとしてらしたんですか、そうですです」
「あの、助けていただいたのにご挨拶が遅れまして
申し訳ありません・・・と申します」
ぺこりと申し訳なさそうに挨拶をするに柔らかく微笑んで
自分の隣の席を薦める
「気にすることではないよ、確かに私はここを治めているけど
を見つけて連れてきたのは息子のレゴラスだからね
怪我も良くなったと聞いていることだし・・・今日は楽しんでくれたまえ」
「ありがとうございます」
普通に尚且つ紳士的に話す父に心なしかほっとしての隣の席に着く
運ばれてくる料理を嬉しそうに口にするをすっかり気に入ってしまった
スランドゥイルはに葡萄酒を薦める
「おいしい!」
「そーかそーか、たくさんあるから好きなだけ飲むといい」
「父上!病み上がりの者になんてことをっ」
「いいではないか、お前も飲め」
「レゴラスっこのお酒おいしいよv」
「・・・お酒飲んで大丈夫なの?」
「ん?平気だよ・・・昔からよく飲んでたしね」
「そう・・・ならいいのだけど・・・」
レゴラスの不安は杞憂に終わった・・・どれだけ飲んでもけろっとしている
エルフ達は酔い潰れることはないのだが、それなりに酔う
でもはその酔う片鱗さえも見せていない
「ねぇ、・・・って酔うことはあるの?」
「へ?どうだろう・・・昔はよく酔ってたような気もするけど・・・
これくらいで酔ったりはしないよ」
「そ、そう・・・」
「〜飲んでおるか?」
「きゃぁっ、ス・スランドゥイルさま?!」
がばぁっと抱き着いてくるスランドゥイルに目を白黒させていると
こめかみに青筋を浮かばせたレゴラスに引き剥がされる
「父上!!うら若き乙女になにをしているんですかっっ」
「今日は無礼講だっ」
「訳の解からないことを言わないでくださいっ」
はスランドゥイルを見ていて誰かに似ていると思った
姿や声がではなく、その性格と行動が・・・
「あぁ・・・(喜助さんだ、スランドゥイル様って喜助さんに似てるかも・・・)」
「どうしたの?」
「え?あの・・・ね・・スランドゥイル様が私のよく知っている人に似ているな・・・と」
「ほう!それは光栄だな!!」
またもや抱き着こうとするスランドゥイルにレゴラスはを抱き寄せ牽制する
やれやれ、レゴラスは頭が硬い・・・とブツブツ言いながら自分の席に戻る
「まったく・・・ごめんね・・・酔った父は手が付けられない・・・」
「あはは・・気にしないで、楽しい方よね〜・・・それにしてもレゴラスはあまり飲まないのね?」
「いや・・・飲んでるよ・・君が飲みすぎなんだ」
「そう?あーそうかもしれない・・・私の周りってみんなお酒強い人達ばっかりだったから」
「そうなんだ・・・」
少し寂しげに微笑むレゴラスの肩には頭を寄せてみる
レゴラスはその行動に少し驚いてそして嬉しそうに顔を緩ませながらの髪を撫でる
「・・・少し・・・酔ってきたかも・・・」
「・・・?」
「ん・・・眠くなってきた・・・」
目を擦る仕草が少し幼く見えるな・・・と思いながら
辺りを見回すと結構出来上がっているなかに視線を送るエルフ達がいるのに気付く
「、部屋に戻ろうか?エルフはあまり睡眠を必要としないから
この宴もいつ終わるか解からないし・・・後で父上には言っておくから・・・
・・・聞いてる?ここで寝ちゃだめだよ」
「んー」
既に心ここにあらずな
頑張って瞼を上げようとしているのだがそれも無理なようで
むーと目を擦っている
レゴラスは視線を送ってくるエルフ達への牽制も込めてを抱き上げると
足早に広間を後にした
「レゴラス・・・?」
「僕が部屋まで連れていってあげるよ、は安心しておやすみ・・・」
「ん・・・ありがと・・・」
部屋に着くと腕の中で規則的に寝息をたてているをベッドへ寝かせる
邪魔にならないようにと髪飾りをとる
するりと編みこんでいた髪が解けると癖のついていない真っ直ぐな髪が頬に落ちる
それを手で払いレゴラスはの額に唇を寄せるそして瞼、頬にも
「良い夢を・・・」
そう言い残しの部屋を後にした
王子が覗き・・・
お約束の王道、お風呂でばったりvにしても良かったんだけど
それはちょっと・・・と思いこんな感じで・・・
あとスラパパのイメージが・・・なぜか喜助さん(笑
いや・・・ほんとスイマセン・・・