昨夜〈胡蝶〉を解放してから、〈胡蝶〉の様子がおかしい
呼んでも返事をしない・・・存在自体がないわけじゃなくて・・・
眠っている・・・そんな感じ・・・どうしてだろう・・・





07 distance -道程-






昨夜のオークの襲撃に加えゴラムとかいう預かっていた囚人?が逃げたので
スランドゥイル様に「裂け谷」という所へ行くようにと言われた
ついでに私の今後の事も相談してみるといいと言ってくださった。

さて、旅支度をするとしますか・・・
エフィルがくれた四次元鞄(何故か沢山物が入る)に洗って繕ってもらった死覇装と隊長羽織
それから・・・これまたエフィルに頼んでもらった布で作った着物(やっぱりドレスのような服より
着物が落ち着くのよ)後は・・・何か必要な物ってあるのかしらん?



、入るよ?」

「レゴラス・・・」

「どうしたの?そんな難しい顔して・・・」

「んー私って荷物少ないなぁって思って・・・」

「そう?そんなことないよ、この鞄・・・エフィルからもらったんだね。沢山入るだろ?」

「うん、不思議なくらい」



レゴラスは不思議がる私の頭をくしゃっと撫でて、今日も私の髪を弄りだした・・・
嫌じゃないのだけどね・・・エフィルも私の髪を弄りたがってたし、エルフって人の髪を
弄るのが好きな種族のようね・・・



「そういえばレゴラス、「裂け谷」という所までどれくらいかかるの?」

「そうだね・・・一週間くらい・・・かな?」

「い、一週間??」

「そうだよ、あぁ・・馬に乗っていくから大丈夫だよ。」

「一週間も馬に乗り続けるの?」

「そうなるね、休憩とかも入れると一週間くらいだね」

「そ・・・そう・・・」



引き攣る顔をなんとか引き締めて頷くのが精一杯でした・・・
たしかに私が生きていた時代も徒歩か馬が移動手段だったけどね
死神になってからは旅なんてしたことなかったし、生きていた時だってなかった
楽しみな反面不安も募ってきた・・・大丈夫かなぁ・・・
私がそんな事を考えている間に、レゴラスは髪を弄り終わったみたいで
満足そうに私を見ていた・・・



「・・・そういえば、はエルフ語は話せるようになったけど・・・
 共通語はどうなんだろうね?」

「共通語?」

「うん、共通語も話せるようになっておいた方が便利かなぁって思ってさ」

「そうかもしれないけど・・・」

[これが共通語なんだけど]

「あ・・・ダメ、解かんない」

「じゃあこれから少しずつ覚えていこうか」



ニコリと笑ったレゴラスの顔が少し怖く見えたのは気のせいでしょうか・・・
言葉を覚えるのは別に嫌なことではなかったのだけど
レゴラスってかなりスパルタだったような気がするんですけど・・・
今回もピアスが助けてくれないかなぁ・・・




出発は翌日の朝だった
エフィルの熱烈な抱擁に吃驚しているとレゴラスが横から私を引き寄せる


〜必ず帰ってくるのよっ」

「う、うん・・・」

「レゴラス様、のことお願いいたしますわねっ(悪い虫がつかないように)」

「解かっているよ、エフィル(当然じゃないか、誰も近づかせないよ)」



エフィルの言葉にレゴラスは王子スマイルで答えているけど、二人とも目が笑ってない・・・
・・・・・・この人達って以外に黒いかも・・・


「レゴラス、気を付けて行くんだぞ・・・それからレゴラス」

「なんです?父上」

をしっかりと守るんだ(特に裂け谷のエルフどもから)」

「勿論です父上(当たり前なことを言わないでください、必ず連れて帰ります)」

「共に行く者達も分かっているな?」


親子だから似ているのは解かるんだけど、その笑顔が怖く見えるのは私だけでしょうか?
それに戦いに行くわけじゃないのに何を言っているんでしょう・・・
スランドゥイル様の言葉に一緒に行くエルフ達も頷いてるしっ
そんなに危険な道のりなわけ???


スランドゥイル様にエフィル、その他大勢のエルフ達に見送られて「闇の森」を後にした


「裂け谷」へ行くには山を一つ超えなくてはいけないみたいで
道のりは結構厳しく思えたのに、やっぱり初めてだからかなぁ・・楽しかった

馬に揺られながらレゴラスは共通語を教えてくれていた・・・やっぱりスパルタだった。
それに今回はピアスも助けてはくれなかった・・・
学ぶことを疎かにするなってことですか、さん・・・
一生懸命言葉を覚えている私を他のエルフ達は微笑みながら見守ってくれていた



「ねぇレゴラス、どうしていきなり共通語なんて言いだしたの?」

「ん?なんとなくなんだけど・・・それにだって色んな人と話をしてみたいだろ?」

「それはそうだけど・・・」

「裂け谷に行けば人間や前に話したホビットがいるかもしれない」

「え、いるの?」

「うん、人間は判らないけど・・・(なにせ放浪癖だから)ホビットは一人いるって聞いてるよ」

「そうなんだぁ、楽しみかもっ」


人間は判らないけど・・・の後に何か言ったような気もするんだけど・・・
周りのエルフ達も苦笑しているだけだし・・・知ってる人なのかな?



「ねねどんな人達なの?」

「そうだなぁ・・・ホビットの方はね、ビルボと言ってホビットにしては珍しく
 外の世界に非常に興味を持っていてよく旅に出ていたよ
 人間は・・・エステルと言ってねエルフに育てられたんだけど・・・」

「けど・・・?」

「僕もね赤ん坊の頃から知ってるんだ、昔はねぇ本当に可愛かったんだよ・・・
 なのに今はムサイというか・・・汚いというか・・・あんなに可愛らしかったのに・・・」

「レ、レゴラス?」



あー、遠い目をしてるよ・・・言葉的に男の人なんだろうなぁ
たしかに男の子って成長と共に変身するよね・・・
冬獅郎もそうなるのかなぁ・・・永遠の133cmでいてほしい・・・(マテ


「どんなに変わっても変わらないものだってあるよ、レゴラス」

?」

「どんなに姿が変わっても、瞳は変わらないよ・・・よほどの事がない限り・・・ね?」

「そうだね・・・それにしても、の瞳の色は変わっているね」

「うん、生きていたときは黒かったはずなんだけどねぇ・・・」

「そうなんだ、不思議だね・・・でも今の菫色・・僕は好きだなぁ」

「そう?ありがと」

「うん、さて・・・と・・そろそろ共通語の練習に戻しますか」

「え゙・・・」





これから一週間ほどずっとレゴラスのスパルタ教育に私は耐え抜いた・・・
ほんとに大変だった・・・おかげで一週間でマスターしましたよ共通語を!!
まだあやふやなトコもあるけどさぁ・・・



行きついた先はそれはそれは綺麗な所だった
闇の森も綺麗だったけど・・・なんていうのかなぁ・・・
季節はたしかに秋なんだけど、風情っていうか・・すこし物哀しいような・・・
憂いを感じる・・・・・・紅葉しきった葉が舞い散っていて
建物も全てが一枚の絵のように風景に溶け込んでいる

ぼうっと辺りを見回していると、金色の髪を靡かせて一人のエルフがやってきた



「ようこそ裂け谷へ、闇の森の皆さん」

「久しぶりだね、グロールフィンデル。元気そうでなによりです」

「貴方こそお変わりなく・・・こちらは・・・」

「あぁ・・・訳があって闇の森で暮らしていたんだ(だから手を出すなよ)」

「そうですか(貴方に言われる筋合いはありませんがね)」


一見爽やかに見えるのに・・・悪寒がするのは何故???


「はじめまして・・・です・・・」


「はじめまして、。グロールフィンデルと申します、どうぞフィンデルとお呼びください」

「は、はぁ・・・」


グロールフィンデルさんもエルフなだけあって綺麗だ・・・やっぱりエルフって・・・ズルイ・・・
・・・なんだか私の後ろにいる闇の森のエルフ達からも殺気のようなものを感じるんですけど?
仲悪いのかなぁ・・・気にするとキリがないから傍観していよう・・・



「長旅でお疲れだとは思いますが、まずはエルロンド様の所へご案内します」



そういってグロールフィンデルさんが私の手を取ろうとしたら
レゴラスがすっと隣に来ていつものようにエスコートしてくれた・・・


「グロールフィンデル・・・のエスコートは僕の役目なんだ(気安く触らないでくれるかな)」

「そうですか?(ちっ)」


もう、好きにしてください・・・

笑顔を引き攣らせつつ案内してもらった先には渋いおじ様がいた
この方が裂け谷の主エルロンド様なのだろう・・・スランドゥイル様のような華やかさより
渋さが強いけど、やっぱりエルフ・・・格好良いんだな・・・


「お久しぶりです、エルロンド卿」

「うむ、本当に久しぶりだなレゴラス・・・粗方の事はスランドゥイル殿よりの手紙を読んだ
 で、そちらが・・・だな?」

「はい・・・はじめまして・・・あの・・・」

「そなたの事はガンダルフからも聞いておる」

「ガンダルフ?」

「ミスランディアの事だよ」

「二人とも今日はゆっくり休みなさい、話は明日にでも聞くとしよう・・・
 今日話を聞いても、明日に聞いてもあまり事態は変わらん」



そういってにこりと笑ってくれたエルロンド様
私とレゴラスを寝室に案内してくれたのはグロールフィンデルさん・・・
なぜか私は冷や汗をかいた・・・・・・








  



これでPrologueは終了です
次回より『旅の仲間』へ突入いたします
が・・・頑張ります・・・