一つの指輪の話を聞いて考える事も増えた
それ以上にの頭を悩ませているのは・・・・・・
10 The sword which was broken -折れたる剣-
「「おはよ、」」
「お、おはよう・・・レゴラスにアルウェン・・・」
この二人だ・・・毎朝アルウェンは服を持ってきて
レゴラスはの髪を結い上げる
その時の二人の爽やかな笑顔の下のどす黒いオーラがを悩ませている
そんな二人から逃げるように館を歩いていたら出会った“小さい人”達。
なかなか面白い二人組だ
最初に話しかけたのはだった
「こんにちは、あなた達が“小さい人”?」
「えっ?そ、そうです!エルフのお姫様」
「そう、僕達は“小さい人”ホビットです!お姫様」
中庭で林檎を齧りながら日向ぼっこをしている小さな二人
立ち上がってもその身長はの胸の辺りまでしかない
キラキラと瞳を輝かせを「お姫様」と呼ぶ
「クスクス・・・私はエルフじゃないしお姫様でもないわよ」
「「え?じゃあ“大きい人”?」」
「そうなるのかなぁ・・・私は、君達は?」
「僕はメリアドク・ブランディバック、メリーだよ」
「で、僕がペレグリン・トゥック。ピピンさ」
「「僕達はフロドの従兄弟で友人なんだ!」」
「そうなんだ、よろしくね。メリー、ピピン」
「「こちらこそ!」」
それからレゴラスに見つかるまで色々な話を聞いたりしていた
ホビットは話好きでその話を面白おかしく話してくれる
そして年齢を聞いて驚いた、見た目は子供・・・少年のようだけど50歳くらいだということ
(レゴラスの歳を聞いた時よりは驚かなかったけど・・・アレは詐欺だわ・・・)
レゴラスに見つかりアルウェンに午後のお茶に誘われてと1日を過ごした
清潔なシーツと服に包まれて暖かい日差しの中、フロドは目覚めた。
「ここは・・・」
「ここはエルロンドの館、今は朝の10時。10月24日だよ・・・念のため」
「ガンダルフ・・・・・・!」
部屋を見渡し、ベッドの側で優しく微笑みかけてくる灰色の人物を見つけ
フロドは安心したように笑った。
「そう、儂だよ。お前は運が良かった、あと数時間で手遅れになっていた。
さすがはホビット、丈夫だな・・・感心したぞ」
「あの宿で会えるかと・・・」
「悪かったな・・・フロド、予定が狂ってな・・・」
ばつが悪そうに顔を顰め、考え込むミスランディア
「ガンダルフ?どうしたの?」
「いや・・・なんでもない・・・」
「フロド・・・!」
「サム・・・!」
ミスランディアが苦笑しながらフロドの問いに答えたとことで
部屋の入り口からぽっちゃりとしたホビット、サムが入ってきた
嬉しそうにフロドの手を握り、フロドの体調を確認する
「目が覚めたんですね?」
「サムがお前の看病を」
「心配しましたよね?ガンダルフ」
「エルロンド卿とのおかげで回復に向っておる」
そう言うミスランディアの後ろから現れたのは厳格な風情のエルロンド
その顔には笑みを浮かべている
「裂け谷に歓迎する。フロド・バギンズ」
「ありがとうございます・・・エルロンド卿・・・ガンダルフ、というのは・・・?」
「おぉ、もよくお前の見舞いに来ていたが・・・メリーとピピンと仲良くなったようでの
きっと今はあの二人に捕まっておるか・・・エルフの二人に捕まっておるか・・・」
ミスランディアとエルロンドは目を合わせると溜息を漏らした
フロドがサムの顔を見るとサムは嬉しそうにについて話した
「始めて会った時はエルフの姫君かと思ったくらい美しい人でした
でも、エルフではなくて・・・メリーとピピンと一緒に来た時には驚きましたよ」
「エルロンド卿がお前に刺さったモルグルの刃を取り除き、がその傷口を癒した・・・」
「じゃあ・・・は魔法使いなんですか?」
「うむ・・・そういうことにしておこうかの・・・」
エルロンドに片目を瞑ると、エルロンドも頷いた
のことについて深く質問をされたくはないから・・・
ならばの特殊な能力について、魔法使いということにしておけば納得がいくという事だ
フロドはエルロンドに館の散策の了解を得て、サムと一緒に部屋を出た
暫く歩いていると、庭先から楽しそうな笑い声が聞こえてくる
その笑い声は聞き覚えのある声と、聞きなれない綺麗な声だった
「そうなんだ、僕達ホビットは何よりも食事が大事なんだ。1日最低でも5・6回は食事しないと」
「そ、そんなに食べて平気なの?」
「平気さっ、ホビットの体の半分は胃袋なんだから!」
「本当に?」
「それはこの二人の体だけですよ、」
「「サムっ・・・フロド!!」」
サムの後ろから現れたフロドにメリーとピピンは嬉しそうに駆け寄り抱きつく
フロドの元気そうな姿を見ても安心する
「良かった・・・目が覚めたのね、フロド」
「貴女が・・・?」
「そう、・よ。よろしくね」
ニッコリと笑いの差し出した手をフロドが握り返す
その時、の頭の中に声が響いた
![]()
「あ・・・あぁっ・・・!」
激しい頭痛に襲われ、その場に蹲ってしまう
フロドは咄嗟にポケットの中の指輪を握る。
サムは「ガンダルフを呼んで来ます!」と走っていく
メリーとピピンはおろおろとを気遣っている
サムに呼ばれてミスランディアが駆けつける
の顔は蒼褪め、呼吸も荒くなっている。
その額に掌を翳し、何かを唱えると呼吸も落ち着き顔色も幾分か良くなる
しかし、今度はフロドの顔色が悪くなる
「・・・ガンダルフ・・・もしかして、この指輪が・・・・・・」
「うむ・・・原因は解らぬが・・・・・・何かしら関係があるようじゃの・・・」
「僕が近づいたから・・・」
「お前が気にする事ではないよ。フロド・・・とにかくを部屋へ運ばねばの・・・」
ミスランディアがを抱き起こそうとすると
音も無くレゴラスが上から降って・・・窓から降りてきた
フロド達が驚いていると、ミスランディアは苦笑を漏らす
「ミスランディア!に一体なにが?!」
物凄い剣幕でミスランディアに迫るレゴラスに、更にフロド達は驚く
「解らぬ・・・指輪が関係しているのかもしれぬが・・・が目覚めてから聞けばよかろう
レゴラス・・・を運んでやってくれ」
「判りました・・・顔色が悪い・・・ミスランディア・・・僕はが明日の会議に出席するのは・・・」
「言いたい事は解るがの・・・それはが決めることじゃよ。レゴラス」
ミスランディアに促されて、を抱き上げ部屋へ戻る
ベッドにそっと降ろし、体が冷えていたのでシーツを掛けていると
ミスランディアがエルロンドと伴ってやって来る
「指輪の影響か・・・」
「フロド達の話によると、フロドと握手を交わした途端には頭を抱えて蹲ったそうじゃ」
「なるほど・・・」
「では、は・・・」
「今は心配する事はないよレゴラス・・・しかし・・・何が起きたのか・・・」
「・・・それは・・・頭にあの夢の声が響いたんです・・・そしたら凄く頭が痛くなって・・・」
「「「・・・!」」」
目覚めたが上半身を起こし、今だ少し蒼褪めているがしっかりとした眼差しで答えた
「どうやら、声の主はサウロンのようですね・・・・・・
私がこの世界にいる事を歓迎していないようです」
くすくすと笑いながら話す。それに訝しげな表情をする3人・・・
は聞こえてきた言葉を話した
「【何故、今だこの世界に留まっている
我に破滅をもたらす乙女よ 異世界のイルヴァタールの愛し子よ
全ての魂の導き手 我を滅びの道へと誘う死神
お前は邪魔だ・・・消えろ・・・消えてしまえ・・・】と・・・言われました・・・
この言葉を・・・どう考えますか?」
「ふむ・・・サウロンにとっては邪魔な存在であるということ・・・か・・・
しかし【異世界のイルヴァタールの愛し子】とは・・・どういう意味なのか・・・」
「確かに、元の世界で私は死神でしたし・・・死した魂を導いてきましたが・・・
それと関係があるのでしょうか・・・?」
「じゃあ、サウロンはの事を知っているということになる・・・
僕はを危険な場所に置いておきたくはない・・・」
「しかしレゴラス・・・今のこの中つ国に危険で無い場所などないよ・・・」
「それは・・・そうですが・・・」
「・・・ならば・・・安全な場所を私達が造るしかないですね・・・それにレゴラス・・・
私はその辺の騎士達より腕はたつと思うのだけど・・・?」
「闇の勢力に立ち向かうと言うのか?」
「その為に私はこの世界に来たのかもしれません・・・
しっかりと聞き取れた言葉を考えると・・・ですが・・・」
「確かにそうかもしれん・・・じゃが、答えを先走ってはならん・・・
明日の会議でこの世界の運命が決まる
指輪の行く先が・・・の、それが決まってからもう一度よく考えるのじゃ。よいな?・・・」
「はい・・・」
それでも自分の答えは変わる事は無いと思っていた
自分一人で何が出来るかは判らないけれど・・・それでも自分はこの世界の運命を変える為に
闇を光に変えるために来たのだと・・・そう思いたかった・・・
その夜、は眠れずに館を散策していた
薄暗い部屋から二人の男の声が聞こえてくる
「・・・・・・ゴンドールの人間なら大歓迎さ」
「何者だ・・・?」
「ガンダルフの友人さ」
「目的は同じか・・・友よ。・・・・・・ナルシルの剣だ・・・!サウロンの指輪の指を切り落とした剣・・・
・・・痛ぅっ・・・まだ鋭い・・・・・・ただの古い剣さ!」
カシャンッと金属が石畳の上に落ちる音がすると、部屋から出てきた男とぶつかる
「きゃ・・・ご、ごめんなさいっ」
「いや・・・こちらこそ、すまない・・・」
「貴方は・・・ゴンドールという国の方なのですか?」
「ゴンドールを知らない?」
「いえ・・・国の名前は知っていますが・・・えぇと・・・私は・と言います。貴方は?」
「そうか・・・私はボロミア、ゴンドール執政デネソールの息子ボロミアだ」
「執政の・・・ではボロミア様とお呼びすれば?」
「いや、ボロミアでいい・・・しかしこのような夜更けに女性が一人歩きなど・・・
あぁ、エルフは寝ないのであったな・・・」
「いえ、私はエルフではありません。えと・・・魔法使いのような者です」
がにこりと笑うとボロミアは自分の顔が熱くなるのを感じた
自国で女性と話をすることなど侍女以外では皆無であったため慣れていないせいなのだろう
は自分を魔法使いのような者であると言うようにミスランディア達に言われていた
それに近いものがあるし「何者か?」と訊ねたれても答えに困る・・・
エルフ達やミスランディアのように理解のある人物達ばかりではないからだ
「では、ボロミア・・・今度お時間がありましたら
ゴンドールの国のことをお聞きしてもいいですか?」
「あぁ、いつでも大歓迎だ。・・・それでは失礼する」
「えぇ、おやすみなさい・・・ボロミア」
「おやすみ・・・」
ボロミアと別れてその部屋を覗いてみると
アラゴルンが床に落ちた剣を拾い石像の所に戻していた
その石像の所に折れた剣の欠片全てが集められて置かれていた
「こんばんは、あの・・・先日は失礼な事を言ってしまって・・・ごめんなさい・・・」
「こんばんは・・・いや・・・気にしていない、『それに悪いのはあの腹黒エルフだ・・・』」
最後の方はエルフ語で呟くように話していてには聞き取れなかった
「え?」
「あぁ、なんでもない。確か・・・と言ったか?」
「はい。貴方は・・・どちらの名前でお呼びすれば?」
「アラゴルンだ。エステルは幼名なんだ・・・」
「そうだったんですね・・・」
くすくすと笑いながら石像に近づくと鮮明に折れたる剣が目に入る
遥か昔に折れた剣が今もなお輝いている・・・その剣にそっと触れてみる
「この剣は今も自分を使ってくれる主を待っているんですね・・・」
「折れているのに?」
「折れているなら鍛え直せば良いのです・・・」
「その剣に意思があると・・・?」
「私の国では時古(ときぶり)し物には魂が宿るといいます・・・
それに、この剣は今でも生きている・・・サウロンの記憶の中で・・・最も忌むべき物として・・・」
「なるほど・・・」
「貴方が・・・この剣の主なのではありませんか・・・?」
の問いにアラゴルンの表情が強張る
その時、アルウェンが現れたのを確認すると更に顔を強張らせる
「こんな所で何をしているの?アラゴルン・・・(しかも私のと)」
「アルウェン・・・いや・・・その・・だな・・・・・・」
「こんばんは、アルウェン」
「こんばんは、。・・・どうしたの?眠れないの?」
「うん・・・目が冴えちゃって・・・散策していたの」
優しくに微笑みかける
「もう遅いわ、明日の会議に出るのでしょう?早く休まないと・・・」
「うん・・・そうする、おやすみなさい。アルウェン・・・アラゴルン・・・」
「「おやすみ(なさい)」」
が部屋を出るまでニコニコと見送ると、くるりとアラゴルンを振り返る
それにビクッとアラゴルンが反応するが先ほどと同じような微笑を浮かべている
アルウェンを見て一気に冷や汗が流れる
「さて・・・アラゴルン・・・」
「な、なんだ・・・」
「と何を話していたの?」
「あ、あぁ・・・このナルシルの剣に意思があると言っていた・・・
今でも自分を使ってくれる主を待っていると、そしてサウロンの記憶の中にも生きていると・・・」
「それから、貴方がこのナルシルの剣の主なのではないか・・・と言っていたのね・・・」
「・・・・・・・・・」
無言を肯定ととってアルウェンは一つ溜息をつく
困ったようにアラゴルンに微笑みかけ言葉を続ける
「何故、過去を恐れるの?
貴方はイシルドゥアの子孫であって、彼そのものではない・・・
運命だって、彼とは違うのに・・・」
「だが、体を流れている血は同じだ・・・同じ弱さを持っている」
「貴方もいつか・・・同じ悪と対決して、それに打ち勝つ・・・」
真剣な眼差しをアラゴルンに向け、アルウェンは優しく微笑みかける
『延びてくる影の手は、貴方と私をまだ覆っていない・・・』
「アルウェン・・・」
刻々と近づいてくる運命の時・・・
その時やってくるのは、光か闇か・・・