今日、この日・・・運命の歯車が廻りだす      ・・・



11 Conference -会議-




はあまり眠れずにこの日を迎えた
あまりハッキリしない頭で着替えを済ませていると
毎朝恒例の舌戦が聞こえてくる



「毎朝毎朝マメな王子様ですこと」

「君もねアルウェン、はきっと既に着替えは終わっていると思うよ」

「そんなこと判っているわ、朝の挨拶がしたいだけよ。
 あなたこそ朝から女性の髪を弄るなんて・・・(私がしたいのに)」

「前から言っていることだけど・・・の髪を纏めるのは
 僕の仕事なんだ(だから触らないでくれるかなぁ?)」


「「おはよう、」」

「おはよう・・・レゴラス、アルウェン・・・(なんで朝からこの二人は元気なんだろ・・・)」



苦笑交じりに二人を迎え入れ、いつものように髪はレゴラスのしたいようにさせる
アルウェンはの着ている服をチェックしてから部屋を出て行く


「・・・いよいよ・・・だね・・・」

「ん・・・どれくらいの人が集まるのかな・・・」

「たいした人数じゃないと思うよ・・・エルフにドワーフ、それから人の子は2人だけだし・・・」

「そう・・・」

「緊張する?」

「少し・・・」



レゴラスは丁寧にの髪を編みこみ整えていく
そうしていると、なにやら部屋の外が騒がしくなってくる



「なにかな・・・?」

「そうだね・・・なんだろう、アルウェンの声と・・・(あのユニゾンは・・・)」



レゴラスに悪寒が走る・・・段々近づいてくる声に、レゴラスの笑みが引きつってくる



「「失礼するよっ」」

「兄上!!」



大きな音を立てながら、さらに大きな声を出して部屋に入ってきたのは双子のエルフ
が驚いて目をぱちくりとさせていると、朗らかな笑顔で双子のエルフは
それぞれの手を取った


「「初めまして、僕達はアルウェンの兄でこの谷を治めているエルロンドの息子」」

「僕がエルロヒア」

「そして僕がエルラダン」

「「よろしく、魔法使いの姫君・・・」」


そう言い、二人揃っての手の甲に口付けを落とす
・・・それを黙って見ているだけのレゴラスではない・・・・・・


「やぁ、エルロヒアにエルラダン・・・久しぶりだね(ってかの手を離せ)」

「これはこれは、闇の森の緑葉の君・・・」

「本当に久しぶりだね、レゴラス」



強引に二人の手からを離す
おやおやと双子のエルフは肩をすくめくすくすと笑いあう


「どうやら緑葉の君は姫にご執心のようだ」

「我々はこのあたりで退散するとしよう」



そういいカラカラと笑いながら部屋を出て行った
残されたレゴラスとアルウェンは苦虫を噛み潰したような呆れたような顔をしていた



「・・・(嵐の後みたい・・・)」



呆然としていたに「食事が終わったらすぐ会議が始まるから」と言い
レゴラスはいつものようにをエスコートして広間へと向かった







重要な会議の前とあって緊張を隠せないでいる面々に
ホビットが加わると楽しい朝食に変わる
それがには良かった、重苦しい気分も消えて食事が進む
賑やかな食事を終えて会議の時間まで少しの間、は庭を散策していた



、そろそろ時間だよ」

「レゴラス・・・」

「難しい・・・顔をしているね・・・大丈夫かい?」

「ん・・・大丈夫・・・・・・それにしてもレゴラス・・・いつもと違うね
 まるで王子様みたい・・・・・・あ、王子様だったね」



茶色いローブの下には銀糸を織り込み、細やかな刺繍のしてある上着を着ている
の言葉に嬉しそうにはにかみながらその手を取る


『僕はだけの王子様でいたいんだけどね・・・』

『え・・・?』

『なんでもないよ』



「行こう」と促し、会議の開かれる場所まで向かう


ミスランディアの隣にはフロドが、レゴラスの隣に
アラゴルンの隣にボロミア、そしてドワーフ達が席に着く

エルロンドは全員が揃うと、各々を見回しながら言葉を発した



「遠来の見知らぬ友よ、そして古き友。モルドールの脅威への対策を話し合おう・・・
 今、中つ国は破滅の淵に立ち・・・・・・結束をせねば奴等の力に屈して敗北する。
 種族の違いを問わず、辿る運命は同じだ・・・     フロド、指輪をここへ・・・」


エルロンドに促され、おずおずと立ち上がり上着のポケットから金色に輝く指輪を取り出した
傷一つ付いていない指輪は中央の台座に置かれる

その指輪をみて口を開いたのはボロミアだった


「本当だった・・・・・・力の指輪だ・・・」


立ち上がりボロミアは自分の見た夢の内容を語り始める
そして何かに惹かれるように指輪に手を伸ばした


「ボロミア!!
 Ash nazg durbatuluk, ash nazg gimbatul,
 一つの指輪は、すべてを統べ、一つの指輪は、すべてを見つけ
 ash nazg thrakatuluk agh burzum-ishikrimpatul.
 一つの指輪は、すべてを捕らえて、暗闇の中につなぎとめる

ミスランディアが言葉を発するごとに辺りが暗くなり恐ろしげな声が響く
とフロドは頭痛を覚え顔をしかめる。レゴラスも眩暈がするような錯覚に陥る
エルロンドは言い終えたミスランディアを睨む


「この谷でかの言葉を口にするとは・・・」

「貴方の許しを乞わぬ、ここ西方の地に間もなくモルドールの言葉が溢れるだろう
 指輪は邪悪そのものだ・・・」


その言葉を遮るように嬉々とした顔でボロミアは再び立ち上がった


「授かり物だ・・・!モルドールと戦う者への授かり物だ
 ゴンドールの執政官の父はモルドール軍を退け、我が民の血で君達の領土を守ってきた
 敵の武器を逆手に使って奴等をやっつけよう」


ボロミアの言葉にアラゴルンが意義を唱える


「指輪が言う事をきかん・・・っ、指輪はサウロン以外に主人を持たない」

「レンジャー如きに何が判る?」


アラゴルンに言葉を返すボロミアに次はレゴラスが立ち上がる


「侮るな、アラソルンの息子アラゴルンだ。・・・忠誠を誓うべき相手だ」

「アラゴルン・・・?イシルドゥアの末裔か・・・」

「王位を継ぐ者だ」

『座れ・・・レゴラス』


捲くし立てるように言葉を繋ぐレゴラスをアラゴルンが制す
ボロミアは信じられないような顔でアラゴルンを見る


「ゴンドールの王だと?・・・      王など必要ない」


そう言い捨てると席へと戻る。ミスランディアが深い溜息をつきつつ話を進める


「ともあれ・・・指輪は使えない」

「残る道は唯一つ・・・指輪を葬るのだ」


エルロンドの言葉にドワーフの一人が斧を手に立ち上がり自信満々に言い放つ


「俺がやってやる       ・・・ぐあぁっ」

「ギムリ!」


振り下ろされた斧は弾かれ、その反動と共にギムリは後ろに吹き飛ばされる
その衝撃はフロドにも伝わり、フロドは顔を顰める


「無駄だよ、グローインの息子ギムリ。・・・我々の手では破壊できないのだ
 それを造った火山の炎だけが、それを葬る力を持っている
 モルドールに潜入して、それが生まれた炎の中に投げ込むのだ。
 君等の中の誰かが・・・・・・その使命を・・・?」


エルロンドの言葉にボロミアが馬鹿馬鹿しいとでも言いたげに口を挟む


「モルドールに潜入するだと?黒い門を守っているのはオークだけではない
 眠ることのない悪の力     そして、例の“目”が見張っている・・・
 全土が不毛の地・・・火が吹き上げ悪と埃に覆われている・・・
 呼吸をすれば有毒ガスを吸い込む、一万の兵を送り込んでも太刀打ちできん」

「エルロンド卿は言われたっ、“指輪を葬れ”と!」

「エルフの手に渡るくらいなら俺は死んだほうがマシだっ」


ボロミアにレゴラスがレゴラスにギムリが
ギムリの物言いにエルフ達が立ち上がり、会議は混乱を極めた
遂にはミスランディアとアラゴルンまでもが参戦し始める
それを黙って見ているのはとフロド、そしてエルロンドだけであった

指輪は語りかける・・・【我を手にせよ】と・・・
にも聴こえる、自分に向けられる言葉ではないが
指輪の誘惑はなおも続く・・・

フロドにも聴こえている、ただ彼は指輪を凝視し
時折不安そうに言い争っている者達を指輪越しに見つめる


「私が・・・「僕が・・・僕がやります!」」


の言葉を遮るようにフロドは大声で叫んだ
その場はしんっと静まりかえり、フロドに全員の視線が向けられる
ミスランディアだけがやりきれない、苦い顔をしていた


「・・・僕がモルドールへ行きます・・・!・・・道は・・・知らないけれど・・・」

「私も行きます・・・私はきっとそのために此処に来た・・・」


フロドの隣に進み出たにフロドも驚く
驚き見つめるフロドに優しく微笑むとその肩に手を置く


「重たい荷物は分け合うと軽くなるものよ・・・
 指輪が一つしかないから私はフロドを敵から守る」

「・・・儂も重荷を分かち合おう。お前を見守っていく・・・」


の言葉に賛同するようにミスランディアもフロドの肩に手を置く
次に歩み出たのはアラゴルン


「私は君を守る、命を     懸けて・・・剣に誓う」

「僕は弓で戦おう・・・」

「俺は斧だっ」


続いてレゴラス、ギムリと名乗り出る
ギムリにいたってはチラリとレゴラスを睨んでいたが・・・
そしてボロミアが決心したように続いた


「我々の運命は君達の肩に・・・これが会議の決定なら・・・ゴンドールは従う
 ・・・だが、とか言ったな・・・君にオーク達と闘える力があるのか?」

「ご心配はいりません、ボロミア。戦闘は慣れています
 それに・・・私は最後の切り札・・・かもしれませんよ?」

「「「「は?」」」」


の事情を知らない者達は疑問の顔を浮かべるが
エルロンドもミスランディアもそれに付いて口を開こうとはしなかった
レゴラスだけが渋い顔をしていたが口を開いた


の力は僕が知っています、エルフでも適わない・・・
 剣の扱いにいたっては・・・アラゴルン、君より上かもね」

「まさか・・・っ」

「エルフは嘘をつかないよ。エステル」


意味ありげなレゴラスの微笑みにミスランディアは苦笑を漏らす
それを見ていたエルロンドが手を叩いて言葉を発した

「では、会議はこれにて「ちょっと待ってっ、俺も行きます!」


柱の影から慌てて出てきたのはサム。それを見てエルロンドは苦笑する


「そう・・・秘密の会議にまで一緒にくっついてくる奴だからな」

「「僕達も一緒に行く!」」


続いて飛び出してきたのはメリーとピピン
さすがにエルロンドも驚きを隠せない、ミスランディアは呆れたようにエルロンドに視線を送る


「縛られたってついて行くから!」

「頭のイイ奴が付いて行かないとね!だって・・・大切な・・・旅なんでしょ?」

「じゃあお前はダメだよ」


自分は頭が良いと自身たっぷりに言い放つピピンに呆れたようにメリーが突っ込む
やれやれ・・・といった感じでサムが肩をすくめる


「10人の旅の仲間・・・いいだろう、指輪が結ぶ旅の仲間だ・・・」

「「やったぁっ」」


素直に喜びあうメリーとピピンだが、ふとピピンは思い出したようにエルロンドに聞いた


「・・・それで・・・どこへ?」


エルロンドは肩眉を吊り上げ、はどうやら笑いのツボにはまったらしく肩を震わせていた