想いを交わしてから
レゴラスは更にの傍を離れる事がなくなった
旅立ちを翌日の夕方に控えて
慌しく準備が進められていった



13 The departure -旅立ち-





十二月も終わりに近い、空は灰色に染まった夕暮れ時に
旅の一行はエルロンドの館の外れに集まった



「指輪所持者が滅びの山へと向かう、同行する者達よ誓いとしがらみに縛られるな。
 さらばだ、目的に忠実に・・・エルフと人間と自由の民の祝福が・・・お前と共にある」



エルロンドがフロドの肩に手を置いてそう言うと
ミスランディアがフロドを促した



「旅の仲間がお待ちかねだ・・・」


その頃、はボロミアの脇に下げられた角笛に興味津々だった



「ねぇ、ボロミア・・・これって角笛?」

「そうだ・・・(ニヤリ)」


ブォォ〜ボォォ〜!



角笛の音は裂け谷に響き渡り
はその音の大きさに耳を塞いだ
エルロンドは米神を引く攣かせボロミアにこう言った


「ボロミアよ、再び御身の土地を踏まれるまでは、また真実必要に迫られた時でなければ
 その角笛を二度とふたたび軽々しく吹き鳴らさぬがよかろう・・・」

「さようでしょうが・・・私は出立にあたってはいつもこの角笛を吹き鳴らすことにしております
 その後、たとえ我々は暗闇を進もうとも、盗人のように夜に紛れていくのではありませんから」


そうボロミアは言い不適に笑って見せた


「では、そろそろ行くとするかの」

「ガンダルフ・・・モルドールは左?右?」

「・・・左だ」


一向はフロドとミスランディアを先頭にエルロンドの館に背を向けた









霧ふり山脈の西側を40日間歩き続け
ローハン谷を抜ければ道は東へ延びモルドールへ至る・・・
何事もなければ・・・・・・


ミスランディアを先頭に、続いてアラゴルンそしてギムリ
その後ろにホビット達を挟んでボロミア、殿には視力の良いレゴラスと
レゴラスが離さないが並んで歩いていた



「・・・寒い・・・レゴラスは寒くないんだっけ」

「うん、あまり感じないなぁ・・・、そんなに寒いの?」

「寒い・・・けど、抱きつかなくていいからね?」

「そうなの?」

「そうです。歩きにくくなるでしょ?」

「そっかー」



二人の会話を聞いていたボロミアは頭痛を覚えた


「・・・(緊張感がない・・・っ危険な旅だということを解っとらんのか?)」




闇に紛れただひたすら歩を進めていくと、小さな窪みに行きついた
一行はその窪みで休憩を取ることにした


「無闇に火を焚くことはできぬ・・・不寝番は・・・」

「僕がしますよ、ミスランディア。僕はまだ疲れていませんからね」



不振番はレゴラスがすることになったが
レゴラスの隣にはが肩を並べて船を漕いでいる


・・・横になったほうがいいよ」

「ん・・・いい・・・何かあった時に困る・・・」

「大丈夫だよ、ほら・・・」


の頭を膝に乗せ、髪を弄りだす
ホビット達は既に夢の中で、ミスランディアも浅い眠りについている


「エルフの王子はベタ惚れだな・・・」

「ボロミア・・・まぁ・・・あそこまでレゴラスが執着しているのを見るのは初めてだが・・・
 というか、エルフはあまり人にも物にもあまり執着しないものなんだが・・・
 レゴラスは特殊なんだろうな・・・」

「ほぅ・・・」

「・・・・・・聞こえていますよ、お二人とも」

「「げ・・・っ」」



レゴラスの絶対零度の声色にアラゴルンとボロミアは蒼褪め
マントを肩まで引き上げて、慌てて眠りにつこうとした



出立してから二週間程歩いた頃、天気が変わり、冷たい風が突然止んで
曇っていた空は青く晴れ渡ってきた
それを確認するとミスランディアは嬉しそうに微笑み一行を見渡した


「やれやれ、うまくいった・・・ここは人間達が柊卿と呼ぶ土地の国境じゃ」

「・・・ここは今まで歩いてきたどこの土地よりも清々しい気に満ちていますね」

「わかるかの?。ここはかつてエルフ達が住んでいた場所だから
 今だ病んではおらぬ・・・今日はここで休むとしよう。昼間だけでなく一晩・・・な」



ミスランディアの決定にホビット達は喜び、アラゴルン、ボロミア、ギムリも一息つけると安堵した


サムはミスランディアに頼み火を熾してもらい、朝食兼昼食の準備を始める
メリーとピピンは裂け谷でボロミアと約束をしていたようで、剣の相手をしてもらっている
辺りに金属の交わる音が響いている


「いいぞ、その調子だ」

とボロミアがメリーに言えば、嬉しそうにお礼を言い、次にピピンが剣を交える
それを楽しそうに見ているのがアラゴルン。時々「足が重い」と口を出している


もう一方ではミスランディアにギムリが意見している

「誰も俺の意見を聞いちゃくれんが・・・これはとんだ回り道だ
 ガンダルフ、鉱山を抜けよう。モリアの鉱山に従兄弟がいるんだ」

「あの道は・・・余程の事がない限り止めた方がいい」

「だが・・・っ」



意見を聞き入れようとしないミスランディアにギムリは溜息をついて再び意見を言おうとする



「痛っ・・・」

「すまん・・・っ」


どうやらこちらでは、ボロミアが手を滑らせてピピンに軽い怪我を負わせてしまったようで
ピピンがボロミアの脛を蹴り飛ばし、それに乗じてメリーが飛びかかっていく


「いくぞっ」

「やれ、メリー!」



その様子を岩の上から2人並んで見ているのは、もちろんレゴラスと
見かねたアラゴルンがメリーとピピンを止めようとするが、返り討ちにあっている


「あーあ、子供と戯れるお父さんみたい・・・」

「そうだね・・・なにやってるんだか・・・エステルもあんな頃があったなぁ」

「そうなの?」

「そうそう、剣がうまく振れないと駄々をこねて・・・手合いに負けると
 悔しいってまた駄々をこねるんだ・・・」

「へ〜ぇ、・・・・・・レゴラス、あれ・・・なに?」

「ん?」

「ただの雲だよ」


の問いにレゴラスは目を向け、ギムリが答えると
ボロミアもメリーとピピンを身体の上から退けて、そちらに目を向ける


「すごい速さだ・・逆風なのに・・・」

「“クレバイン”だ!」

「隠れろ!フロド、隠れるんだ!」


レゴラスが叫ぶのと同時に、ボロミアはメリーとピピンを連れて岩陰に隠れる
アラゴルンはサムとフロドの元へ駆けつけ、火を消させるとボロミア同様岩陰に身を隠す

珍しそうに空を見ていたをレゴラスは抱き上げて茂みの中に隠れる



「レゴラス!?」

「し・・・っ、静かに・・・」



けたたましい声を上げながら頭上を旋回しながら飛び去る黒い影を
は不思議そうにみている
クレバインの声が遠のき、安全を確認すると所々から一行が姿を現した


「サルマンのスパイだ・・・」

「ふぅん・・・こんど焼き鳥に・・・」

「「っ、僕達あんなの食べたくないよっ」」

・・・クレバインは鳥じゃないよ・・・」

「なんだ・・・」


達のやり取りに人間2人は苦笑を零し魔法使いは額に手をあてこう告げた


「南へ行くのは危険だ・・・カラズラスの峠へ・・・」










  


短いですね・・・
カラズラスを入れようと思ったんですが・・・
そしたら長くなりそうで、きりの良い所だとここなんですよね