辺りが夕闇に包まれ始めた頃
一行は疲れ果てて森の一角で休憩する事にした


「今日はここで休む事にしよう・・・」


ミスランディアの一言で一行はほっと表情を緩めたが
だけは険しい顔をしていた






15 Scarlet flame -緋炎-






・・・?、どうしたの?難しい顔をして・・・」

「レゴラス・・・嫌な感じがするの、よく判らないけど・・・」

「嫌な感じ?・・・・・・うん、不穏な空気だね・・・・・・風が嫌な声を運んでくる・・・」



嫌な声?と首を傾げつつ、耳を澄ましてみると何かが吠える声が聞こえてくる



ワーグだ!」



レゴラスが叫ぶと同時にミスランディアは杖を構えなおし
アラゴルンとボロミアは背を向けあい、ホビット達を護るように剣を構えた



「サルマンの追跡が始まったか・・・・・・日が昇り次第モリアへと急ごう」

「・・・この状況を抜けてから、ですよね?ミスランディア」



の言葉にミスランディアは苦笑しながら頷く
辺りを見回せば、既に囲まれているようで
一匹の狼が唸り声を発し、一声大きく吠えるとミスランディアが杖を高く掲げ
声高々に言い放つ



「聞け、サウロンの犬ども!儂は灰色のガンダルフ
 そのけちな毛皮が惜しくば退散するがよい!」


ミスランディアがそう叫んでいる時に、一匹の狼が跳びあがり襲い掛かろうとすると
ひゅっと弓弦の音を立ててレゴラスが矢を射る
矢は狼の喉元に命中して、狼はどさりと音をたてて倒れる

それを合図に次々と狼達は一行に襲い掛かる



[破道の三十一 赤火炮!]



が鬼道を放つと大半の狼達は消えうせる
レゴラスやアラゴルン達も狼を迎え撃っているが
どこから現れるのか、次から次に狼達は襲い掛かってくる



[こ、のぉ・・・破道の三十三 蒼火墜!・・・・・・え?]



放たれるはずの蒼い焔は緋色の大きな鳥の姿をしていた

その大きな火の鳥は狼達を包み込むと一瞬にして灰にしてしまった
唖然として見ているの前に火の鳥は舞い降りる
レゴラスやミスランディアも驚いてを見つめる



[・・・ま、さか・・・・・・緋炎・・・?]

[如何にも・・・捜したぞ、・・・]


火の鳥の纏っている火が収束して人の姿に変わる
紅い髪、紅い眼に異国の服をきた長身の青年の姿に・・・



[緋炎!]



嬉しそうにが駆け寄れば、青年も嬉しそうにの頭を撫でる
ピシリと音を立てて固まる金髪のエルフを
一行は見ないようにするのが精一杯だ



[緋炎がここに来れるってことは・・・]

[あぁ・・・主が戻られた]

[本当に!?]

[嘘を言ってどうする・・・]



と緋炎が親しげ話しているが、一行には言葉が判らない
どうやらの知り合いらしいと認識した



・・・その人は誰かな?」



引き攣る顔をなんとか笑顔にしてレゴラスはに聞く
アラゴルンやボロミア、ホビット達は胸の前で十字を切った


「はぇ?あ、ごめんレゴラス・・・えーと、私の世界の・・・なんて言ったらいいんだろ・・・」

の世界の人なんだ・・・っていう事は・・・を連れ戻しにきたの?」

「あー違うみたい・・・それだけの力は無いらしいし・・・
 ただ、私が何処にいるのかを確認しにきただけみたい」

「そう・・・で何時帰るのかな?」

「は?何時・・・って・・・・・・」



さらりと黒い事を言うレゴラス
は緋炎に[何時帰るの?]とそのまま聞くと
緋炎は腰に下げていた剣に手をやるとニヤリと笑った
はその笑みを見て冷や汗が背中を伝った



[ひ、緋炎さん・・・?]

、お前の腕が落ちていないか確認させてもらうぞ]

[・・・本気・・・・・・?]

[無論だ・・・この辺りに結界を張ってある。何も気にする事はない
 そこにいる人間達にも・・・な]



言いきると同時に剣を抜き、斬りかかる緋炎に
は〈胡蝶〉を手に応える



[始解はしないのか?]

[それをすると暫く〈胡蝶〉が眠ってしまうのよ]

[なるほど・・・]



普通に会話を交わしながら手合わせは進む
一行が驚いて口々にの名を呼べば
は「大丈夫、単なる手合わせだから!」と叫び
楽しそうに剣を交わせている


アラゴルンとボロミア、ホビット達はあんぐりと口を開けてを見るが
もう目では追えないほどの速さに瞠るばかりである
レゴラスはというと、手合わせとはいえが怪我をしないかと
そればかりを気にしていた

は狼達の気配がすればそこに鬼道を放って撃退し緋炎の攻撃をかわす
という芸当をやってのけ、緋炎は嬉しそうに笑った



[このあたりで終わりにするか・・・]

[そりゃどうも・・・]

[腕を上げたな、・・・主にはそう伝えておこう・・・
 我が必要な時は呼ぶがいい、いつでも来てやる]

[うん・・・ありがとう・・・・・・さんによろしくね]

[あぁ・・・]



緋炎は再び火の鳥に姿を変え、の掌の中へと消えた
それを見届けて、は一行の元へ帰れば
騒がしい一時が待っていた




















日が昇り、周囲の安全を確認して一行はモリアへと足を進める
ふいにミスランディアがフロドを呼んだ



「フロド、こちらへおいで。・・・肩の具合はどうだ?」

「何とか・・・」

「・・・指輪は無事か?・・・力が増しているだろう・・・?
 儂も感じる・・・注意するのだ、悪がお前に忍び寄ってくる。外からも、内からもな」



不安そうにミスランディアを見上げそっと指輪を握るフロド


「どうしたら・・・?」

「まず、自分の力を信じるのだ。自分の強さを・・・」

「つまり・・・?」

「この世は善悪の力に満ちている。儂にも適わぬ力、今だ対決した事のない力に」



ミスランディアはフロドに語りながら道を進む
後ろでは、昨晩すこし機嫌を損ねたエルフには不思議そうな顔をしていた



「レゴラス・・・?」

「なんだい?

「・・・機嫌、悪い・・・?」

「そんなことないよ」

「「「・・・(嘘つけっ)」」」



アラゴルン、ボロミア、ギムリは内心レゴラスに突っ込みをいれる


「何か言ったかい?そこの3人」

「「「いや、何もっ(心を読むなっ)」」」

「そう?」



そこに恐れを知らぬ勇者が一人


「ねぇ、。昨日の紅い髪の男の人はの何?」

「ピピン!」

「だって〜気になるじゃないか、昨日は眠くて聞けなかったし・・・」


「あぁ・・・緋炎のこと?」

「ヒエン?」

「そう、彼は・・・私を育ててくれた人に使えているの
 人ではないわ、魔物でもないけど・・・私のもう一人の剣の師匠よ」

「へぇ〜人でも、魔物でもないなら・・・エルフ?」

「う〜ん・・・どっちかというと・・・・・・神様に近い存在・・・かな?」



よく判らないや・・・とピピンとメリーが肩を竦める隣で
「私の剣の師匠」の言葉を聞いて機嫌を良くしたエルフがいた



「・・・・・・ゲンキンな奴・・・」

「何か言いましたか?ボロミア・・・」

「いやっ何でもないぞっ」



気を付けろよ、エルフの耳は良いんだ・・・とアラゴルンがボロミアに耳打ちすれば
その脇腹にさくりと弓の先が突き刺さる

視線を上げれば極上の(黒い)笑顔をしたレゴラスがいた












  





オリキャラ登場です・・・
次回はモリアの坑道へ・・・
長くなりそうな予感・・・(汗