「この場所は記憶にない・・・」


ミスランディアはそう呟き
一行はミスランディアが答えを出すのを待つ事になった



17 Moria 2 -モリア 2-




「レゴラス・・・何か、いる・・・」

「ん?あぁ・・・ゴラムだ、ミスランディアが何も言わないから
 今はそっとしておこう?」

「うん・・・」



レゴラスはの頭をふわりと撫でて肩を抱く
その時フロドもゴラムに気づいたのかミスランディアのもとへ
その身を寄せていた



「さ、は少し休んだほうがいいよ
 ミスランディアが答えを出すまでだけどね。」

「でも・・・」

「大丈夫、アラゴルン達も休憩しているから」



の肩を抱いたまま近くの階段に腰を下ろすと
遥か下方で蠢く一つの影が目に入る


「哀しい魂だね・・・」

「あぁ・・・寂しい人生だ・・・」


は暫くの間レゴラスの肩に頭を預けていた
その間にミスランディアはフロドを諭しふと思い出したかのように声を上げた


「あぁ・・・あっちだ」



迷った時は鼻を利かせる事が重要だとミスランディアは言い
そのまま細く暗い階段を下りていけば次は階段を上る
そうして暫く歩いていくと開けた所に行き着いた



「危険だが、明かりが必要じゃ」


言いながら薄明かりの点いた杖を高く掲げると、杖は強い光を放った
そこに見えたのは数多くの石の柱、天井は高く光が届いていないように見える
そして奥へと続く長く広い廊下


「ドワローデルフ・・・モリアじゃ、ドワーフの壮大なる地下宮殿」

「・・・すごい・・・・・・こんなものを造り上げるなんて・・・ギムリ、ドワーフってすごいんだねっ」

「おぉ、娘っ子の割にはよく判ってるなぁ。ドワーフは・・・・・・」



ギムリがドワーフについて語り出したのを見て、レゴラスは顔を顰める
が真剣にその話しを聞いているのがどこか気に入らない
ホビット達はポカンと口を開けたままミスランディアの後をついていく
その後ろにボロミア、ギムリとは並んで話しをしている
そしてレゴラスの後ろに苦笑を漏らすアラゴルン
アラゴルンにはレゴラスの不機嫌なピリピリとした空気が伝わってきていた

未だドワーフについて話していたギムリが、扉の開いている部屋を見つけ急に駆け出した



「「ギムリ・・・!?」」


とミスランディアが呼び止めるが、ギムリはそのまま部屋へと駆け込む
仕方なしに一行はギムリの後を追い部屋へと入る



「まさか・・・そんな・・・・・・嘘だ、嘘だ・・・っ」


嗚咽を漏らしながらその部屋の中央にある石棺の前でギムリは蹲っていた
ミスランディアが近付き棺に刻まれていた文字を読んだ



「“故バーリン・・・・・・フンディンの息子、モリアの領主”       没したか・・・」


ミスランディアの言葉にギムリはついに声を上げて泣き出した
が部屋を見渡せば外から漏れる光が棺を照らしていた
被っていた帽子と手に持っていた杖をピピンに渡しミスランディアも部屋を見渡した

その棺の傍らにまるで仕えるように倒れている白骨と化したドワーフにミスランディアは近寄る
その死者の腕から他懲りの被った本を手に取れば数枚の項が零れ落ちる



「急がないと・・・危険が迫る・・・」


レゴラスがアラゴルンにそう呟くが、ミスランディアは手に取った本を読み始める



「“オークは橋を渡り、第2の広間を占領した、門を硬く閉じたが・・・彼らを防げなかった
 大地は激しく震え・・・地底から・・・太鼓の響きが沸き起こった
 もう逃げ道はない、闇の中でうごめく影・・・もう逃げ道はない・・・奴らが来る・・・”」



ミスランディアが読み上げる中、一行は耳を傾け聞き入っていると
乾いた音が部屋に響いた
その音に皆が反応して音のした方へ視線を向けると、そこには井戸があり
その前にいたピピンがはっとしたように慌てたが、井戸の柱にもたれるようにあった
死体がゆっくりと大きな音をたてながら井戸に落ちていった

響き渡る大きな音が消えると同時にミスランディアは本を閉じピピンを睨んだ



「なんという間抜け!今度はお前が落ちるといいっ」



ピピンがぎゅっと目を瞑ればミスランディアは持たせていた杖と帽子を乱暴に取り上げた
その時、の背筋が粟立った



「・・・っ何か・・・来るっ」

!?」



不気味な音が地の底から響いてくる、それは次第に大きくなり
太鼓のような音も混じり甲高い声も聞こえてきた



「オークだっ!」


レゴラスが叫ぶとボロミアが駆け出し部屋の外を窺うと矢が飛び扉に刺さる
「ガンダルフの側へ!」と叫びながらアラゴルンはボロミアと二人で扉を閉めた


「トロルもいる」


ボロミアが呟いている側でレゴラスが壁に掛けてあった斧を二人に投げ渡し
それを受け取った二人はしっかりと扉を閉める


3人は扉から間合いをとり各々武器を手にする
も迷わず〈胡蝶〉の柄に手を添える

オーク独特の甲高い声が響き渡り朽ちかけた扉が軋みだす
レゴラス、アラゴルン、ボロミアが前に出て弓をかまえると
オークの手によって扉が壊され始め、その隙をみて矢が放たれる
そして遂に扉が壊された            ・・・




「来い!ドワーフは全滅しとらん!!」


ギムリが吼える
大勢のオーク達が部屋に雪崩れ込んできた
矢で応戦していた三人も接近戦になり矢から剣、短剣でオークをなぎ倒していく
驚きと恐怖で固まっていたホビット達も我に帰り、各々剣を握った
も迷わず《胡蝶》を振るう

湧き出てくるかのような大勢のオーク、倒しても倒してもキリがない
そうしていたら巨大な生き物が入り口を崩しながら入ってきた



「トロルだ!!」


ボロミアが叫ぶ、トロルは敵味方関係なく棍棒を振り回す
最初に矢を放ったのはレゴラス、矢の当たったトロルは
奇声を発しながら棍棒を振り下ろした先にはサムがいた
サムはトロルの股の下を抜けることでなんとか避け
目の前からいなくなったサムを探し振り返った所で
ボロミアがトロルの首に下げられている鎖を掴んだ
続いてアラゴルンも鎖を手に引っ張り始める

主力二人がトロルにかかりきりになっているので
は辺りのオークを切り伏せる
首を引かれ大きく身体を傾けるトロルが一気に体制を建て直し
再び暴れ始めると、反動でボロミアが吹き飛ばされ壁に激突する
は霊圧を探り安否を確認すると鬼道を使い辺りのオークを一掃した



「破道の六十三 雷吼炮!」


を囲むオーク達に電撃が走り数十人といたオークが地に伏した
それを見て目を丸くしたのはミスランディアとアラゴルンで
唖然としたのはホビット達だった
レゴラスはというとの背を守るかのように立っていた
そしての攻撃範囲外で暴れているトロルへ向かって走っていく
トロルが標的にしているのはギムリだ
その近くではサムがフライパンを片手にオークと対峙している


「さて、私もあの大きな化け物の相手をしに行きますか」


は抗議する《胡蝶》を片手にトロルに向かって走りだした